CHAGE and ASKA、BLANKEY JET CITY、倉木麻衣……キャリアアーティストによるサブスク解禁のメリットとは
音楽が“所有するもの”から“ストリーミングするもの”へ変化して久しい昨今、サブスクリプション配信されていない楽曲やアーティストを探す方が難しくなりつつある。そんな中、サブスクでの配信が待望されていたアーティストたちの音源解禁が昨年末以降から相次いでいる。CHAGE and ASKA、BLANKEY JET CITY、倉木麻衣、ちあきなおみ、森口博子などといった、往年のファンを抱えながらもサブスクでの配信がなかったアーティストたちが満を持して登場したのだ。 【写真】サブスク解禁されたBLANKEY JET CITYの名盤 CHAGE and ASKAは2024年8月25日にデビュー45周年を迎え、これを記念して全楽曲が主要なサブスクリプションサービスで順次音源が解禁されることが明らかになった。まず、彼らのベストアルバム『VERY BEST ROLL OVER 20TH』が配信され、さらに10月1日には残りの全曲が配信開始となるとのこと。これにより彼らの全ディスコグラフィを一挙に楽しむことができ、特に若い世代にとっては、彼らの音楽を深く知る絶好の機会となるはずだ。代表曲「SAY YES」や「YAH YAH YAH」など、長く愛されている楽曲が再び注目を集め、これらのミリオンヒット楽曲を入り口に過去の作品群にも新たな視点で触れることができるようになるだろう。 また、解散から約24年を経たBLANKEY JET CITYによるサブスク解禁も大きな話題を呼んでいる。彼らの全楽曲が配信された7月28日は、2000年の『FUJI ROCK FESTIVAL』で国内アーティストとして初のヘッドライナーを務めた記念すべき日であり、同時に解散前の最後のライブパフォーマンスが行われた日でもある。そんな節目にバンドの全楽曲が配信されたのだ。この全楽曲配信に先駆けて、サブスク解禁された横浜アリーナでのラスト単独公演を収めたライブアルバム『LAST DANCE』がSpotifyのバイラルチャートにランクインするなど大きな反響を呼び、BLANKEY JET CITY特有のヒリヒリするような緊張感あふれるライブ音源を2024年の音楽シーンに叩きつけた。そして、このサブスク解禁は、当時からのファンによる懐古的なイベントに留まらない。BLANKEY JET CITYの音楽スタイルは、新しいリスナーにとっても刺激的かつ斬新であり、彼らの影響力が24年の時を超えて再び広がっていくことが期待される。 倉木麻衣も、昨年12月8日に全439曲のサブスクリプション解禁を発表した。これまでは、彼女が担当した『名探偵コナン』のテーマソングのみがサブスク配信されていたが、25周年イヤーがスタートするデビュー記念日に、過去のヒット曲から最新シングルまでが一挙にサブスクで解禁されたのだ。これによってデビュー当時から彼女のファンである世代にとっては懐かしの楽曲が手軽に聴けることが大きな喜びとなるだろうし、新たなファンにとっては彼女のキャリアのスタートから現在に至るまでの音楽の進化を楽しむことができる機会になるはずだ。倉木のほぼ全楽曲がサブスク解禁されたことによって、新たな世代のファンにも広く受け入れられてきた『名探偵コナン』とのタイアップ楽曲だけでなく、それらのヒット曲を起点にアルバム曲など、彼女の多様な魅力を見つけることができるようになりそうだ。 また、ちあきなおみは、今年6月10日にデビュー55周年を迎え、これを記念してこれまでのシングルとオリジナルアルバムから全300曲以上の楽曲が一斉にサブスク解禁された。昭和歌謡の象徴的存在である彼女の楽曲は、このサブスク解禁によって新たな命を吹き込まれ、再び脚光を浴びている。彼女の名曲「喝采」や「夜へ急ぐ人」など、感情豊かな歌声と情緒ある歌詞が特徴であり、昭和歌謡ブームが続く最中で若い世代にも共感を呼んでいる。ちあきなおみのカタログが、このサブスク解禁によって時代を超え、新たなファンを魅了するきっかけになりそうだ。 森口博子は、タレントとしてだけでなくアニソン界のレジェンドとしても知られるが、彼女もまた全176曲をサブスク解禁し、注目を集めている。アニメ『機動戦士Ζガンダム』オープニングテーマ「水の星へ愛をこめて」や、90年代に放送された大人気バラエティ番組『夢がMORI MORI』のテーマソング「夢がMORI MORI」「スピード」「ホイッスル」「Let‘s Go」など、彼女の代表曲が配信されることで、幅広いリスナー層にアプローチし、再評価の機会を得ている。特にアニメファンからの支持が厚く、サブスク解禁によって彼女の音楽がいわゆる“後追い世代”に広がっていくことが期待できる。また、森口本人もこのサブスク解禁のキャッチフレーズを「隠れた名曲、隠さないぞキャンペーン中!」としており、配信されている全176曲の中から新たな名曲を探し出すのも楽しみのひとつである。