子ども時代は本当に貧乏でそれがトラウマ。梅沢富美男が語る「子どもの貧困」の実情
もしも今本当につらい思いをしているならば、誰かに助けを求めてほしい
――もしも私たちが子育てしながら貧困に陥る状況、“子育て困窮世帯”になってしまった場合、どうしたらいいですか。 自分が生んだ子ですよ、まずは親が頑張るしかない。現実的に赤の他人は手を差し伸べることはなかなか少ないと思うので、お父さん、お母さんが何とか子どものために努力する。生きていくのは大変です。子どもができたらそれまでの生活から変わるのが当たり前。子どものための人生を作らなきゃ。好きなパチンコや遊園地に行きたかったとしても、いったんは我慢しましょうよ。楽しみは子どもが自立したあとでも満喫できるじゃないですか。今どき古い考えと言われようが、とにかく子どものことを最優先に考えて努力するのが親のつとめ。それは変わらないと思います。 でも、もしも今、本当につらい思いをしているんだったら、行政やボランティアの支援を受けてみるのは必要だと思います。頼るのが恥ずかしいとか、人に面倒見てもらうのが格好悪いとか、世間体があるなんて考えない。どこかに見栄があったとしてもそれは払拭して、まずは頼ってみましょうよ。 僕の体験から言えるのは、世の中冷たい人ばかりじゃなくて、やさしい手を差し伸べてくれる人もたくさんいるということ。それを信じてください。 ――最後に、あの頃の「トンちゃん」に何か言ってあげるとしたらどんな言葉ですか? 「えらかったね、よく貧乏に負けなかったね。でもおまえが負けなかったのは、隣のおばちゃん、牛乳屋のおじさん、ブリキ屋のおじさん、宇野さんや奥さま…、救ってくれた人がたくさんいたからだよ。その人たちの言うことをよく聞いたな。しっかり『ありがとうございました』って言えたよな。もしも『関係ねえ、ばかやろう』となっていたら、きっと今のおまえはいないよ」。トンちゃんにはそう言いたいですね。