現役ドラフトで日本ハムに移籍が決まったソフトバンク吉田賢吾 重度な色覚障害も「全然ハンデだと思ってない」
出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させるための「現役ドラフト」が9日、非公開で開催され、ソフトバンクの吉田賢吾捕手(23)が日本ハムに移籍することが決まった。 ■元タレント夫人と腕組みハニカミ2ショット【和田毅秘蔵写真】 小さいときから色の判別が難しい。小学2年生の頃、学校の視力検査で引っかかり再検査となった。後日、病院に行くとある表を見るように言われた。その表には緑色系の円の中には赤系で、赤色系の円の中には緑色系で数字が書かれているはずだったが、吉田にはその数字が見えなかった。「点で数字が浮かんでくるやつです。表の中に数字があるはずなのに全く浮かんで来なくてっていうのは今でも覚えてます。『どこに数字があんの?』みたいな感じだった」。視力自体に問題はなかったものの、「色覚障害」と診断された。 色覚障害は、目の中にある細胞で色を認識する錐体細胞が機能しないことで起こり、特に赤や緑が見分けにくい。「公益社団法人 日本眼科医会」によると日本では男性の20人に1人、女性で500人に1人の割合で色覚異常の人がいるとされており、先天性の障害は現在の医療では治すことができない。人によって見え方の差はあるが、吉田は「緑と赤はほとんど差がなく、同じ色に見える。結構重度な方です」と明かす。 学生生活を送る中では支障もあった。「体育の授業で両チームともビブスを着られると仲間がどっちか分からないとか、美術の時間に課題が出されて『お手本と同じような作品を描け』って言われても同じ色じゃなくて違う色塗っちゃうこととかありました」。 ただ、野球では「小さいときからこれが普通だったので、プレーに影響が出たことはない」。逆に、バッティング練習のときにボールの縫い目だけがくっきりと見えたこともあったといい、「特殊能力かもしれないです」と笑う。 「特別感は全くない。全然ハンデだとも思ってない」。吉田が野球を始めたのは小学1年生のとき。そこから17年間、プロの場で活躍するためひたむきに野球に向き合ってきた。プロ2年目の今季は2軍で打率3割3厘を残し、1軍デビューも経験。10試合(27打席)で初安打を含む5安打を記録し、才能の片鱗を見せた。 移籍が決まり、みずほペイペイドームを訪れた吉田はソフトバンクでの2年間を振り返り「うまくいくこともいかないこともあったけど、そういったときに周りの方々がすごく面倒を見てくれたので感謝の気持ちでいっぱい」と頭を下げた。その上で「2年連続、現役ドラフトで(ソフトバンクから)出た選手が活躍しているので、個人的にはその流れに乗れたらと思っています」。北の大地で自分の色を出し、鮮やかに開花してみせる。(大橋昂平) 【#OTTOソフトバンク情報】
西日本新聞社