撮影から逃げて車の中に閉じこもった―市原隼人が語る未熟だった18歳の自分
民法改正により、2022年4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられました。俳優・市原隼人さんは18歳当時すでに、フジテレビ系ドラマ『ウォーターボーイズ2』やTBS系ドラマ『あいくるしい』の主演を務めるなど、数々の映画やドラマの現場をこなしていました。一方で市原さん本人は、当時の自分は精神的に未熟だったと語ります。「周囲の大人に対しては“理由なき怒り”を持っていた」「撮影から逃げたくて、車に閉じこもった」―そんな市原さんが大人へ一歩近づけたきっかけについて話を聞きました。(Yahoo!ニュース Voice)
「なんで俺は仕事をしなきゃいけないんだろう」18歳の自分の未熟さ
――18歳の時はどんな生活を送っていましたか? 市原隼人: 『ウォーターボーイズ2』に出演していたのが17歳18歳ぐらいの時だったのですが、当時はもうずっと仕事ばっかりです。「周りの友達は遊んでいるのに、なんで俺は仕事をしなきゃいけないんだろう」という思いを抱えながら、ひたすら仕事をするという日々を過ごしていましたね。 周囲の大人に対しては“理由なき怒り”を持っていたというか、常に何かにこう、奮い立っているような状態でした。10代の頃の僕の動力は、怒りだったんです。大人と会話しても、自分の言葉がちゃんと相手に伝わったと感じさせてもらえないことが多かったし、自分が信じているものに対して筋を通してもらえなかった時に感じる怒りについては、もう“こだわり”なのか“わがまま”なのかわからないくらいでした。自分が正しいのか、間違っているのかもわからない。 精神的に未熟で、感情のコントロールがしっかり出来ない時期でした。新しい作品に出演する事が決まる度に、眠れなかったり、吐いてしまったりしていて、涙が止まらない日がすごく多かったです。 ――そんな日々でも毎日撮影現場に? 市原隼人: 役者の世界ってすごく厳しい世界で。こういった仕事をしていると「親の死に目にも会えない」と周りの大人にずっと言われていましたし、「自分には代わりがいないから、何があっても現場に行かなきゃいけない」っていうプレッシャーがすごくありました。 ある時、そのプレッシャーに耐えられなくなって、逃げたくなって。どうしても撮影現場に行きたくないと、車の中に閉じこもったことがあります。マネージャーが車の外に出た瞬間に鍵を全部閉めて「もう俺は絶対に現場に行かない!」「今日は休むんだ!」って。でもすぐに後ろから声がして「あいてるよー」って言われて。バックドアの鍵だけ閉め忘れていたんです。「あーまた今日も仕事しなきゃいけないんだ」と頭を抱えながら現場に向かったのを覚えています。 今考えると、当時の自分は「なぜ俺が仕事しなきゃいけないんだろう」と勝手に一人で自問自答しながら、“主観”の世界で悶々と生きていて、役者という自分の仕事について“俯瞰”的な視点で考えることができていなかった、ちゃんと仕事に向き合えてなかったなぁと思うんですよね。