京都国際、甲子園優勝校史上最も狭いグラウンドで築き上げた「堅守」、優勝の背景にあった超個性的練習の数々!【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.34』】
今年の選手たちは指導者が止めに入るほど練習する
毎年、ドラフト候補を擁する京都国際ですが、今年はそういう選手はいません。小牧監督も「満遍なくある程度はできるんですけど、これといった武器がない。こういう学年は珍しいですね」 昨秋の近畿大会でもベスト4に入り、実戦的な試合ができて勝ち進めるチーム。だけれど、優勝するためにはなにかパンチが足りない印象でした。そのチームが変わったのはセンバツの青森山田戦の敗戦がきっかけでした。奥井 颯大捕手(2年)はあの試合から、「日頃の生活からもっと注意深く観察して、行動しないといけないんだ」と守備の要として成長。打てて守れるチームに変わっていました。小牧監督は「打線につながりが生まれました。一発を打つ選手はいないので、つまらないチームに見えると思いますが、日替わりでヒーローが生まれるのは良いことです」と選手たちの成長を実感していました。 夏の京都大会では準決勝で龍谷大平安にコールド勝ち、決勝ではセンバツ出場の京都外大西に14対3で圧勝。京都外大西は秋春といずれも決勝戦で対戦していて、秋は敗れて、春は2対1と1点差の接戦でしたので、短期間で驚くべき成長をしていました。その秘密は自主性の高さにあります。夏の大会中は基本的に調整練習で練習が短めになりますが、選手たちは夜遅くまで練習をしていたようで、小牧監督が止めに入るほどだったようです。選手たちに話を聞くと、「自分たちは力がないから、自主練習をしなければ差が縮まらない。試合中では相手の長所、短所を観察して、それに踏まえたプレーをしないといけないといいます」と口を揃えました。技術、精神ともに成熟した集団となっていました。 決勝の関東一は本当に強いチームでした。チャンスを作っても堅守で先制点を阻まれます。そして9回裏のピンチではポジショニングの上手さが光り、なんとかサヨナラ負けを阻止しました。延長10回表に2点を先制し、その裏に今大会無失点の西村 一毅投手(2年)が抑えて甲子園優勝をつかみ取りました。