旧富大が50年前購入か 元教員宅の放射性物質、人体影響なし
●持ち出し時期、経緯不明 「住民に心配」学長謝罪 亡くなった富大元教員の富山県内の自宅から放射性物質が発見されたことを受け、富大は16日、会見を開き、旧富大が約50年前に購入したものと推定されると明らかにした。齋藤滋学長は「地域住民や学生に心配をかけた。今後このようなことがないよう再発防止に努めたい」と述べ、謝罪した。家は現在人が住んでおらず、缶周辺の放射線量は基準を下回っており、人体や環境への影響はないとしている。 【写真】元教職員の自宅から発見された放射性物質 放射性物質を保管していたのは富大元教員で、富大側は「放射性物質の取り扱い登録をしていたと認識している」と説明した。放射性物質は研究、実験用だったとみられる。元教員が亡くなっているため、学外への持ち出し時期や経緯は不明とした。教員の所属や研究内容について、「少なくともアイソトープ(同位体)を扱う学部の教員」と述べるにとどめた。 富大によると、金属缶の内容物は炭素14で、購入元の日本アイソトープ協会に確認したが購入時期が古く、記録が残っていなかった。缶に記載された表記から旧富大で約50年前に購入したと推定した。 缶は現在、富大生命科学先端研究支援ユニット・アイソトープ実験施設の放射性廃棄物保管室に保管し、後日、日本アイソトープ協会に渡す。 富大によると、8日、元教員宅の物置棚で、ラベルに「放射性物質」などと記された金属製の缶が見つかったと、遺族から連絡があった。9日に調べると、未開封で、缶の表面から放射性物質の炭素14とトリチウムが検出された。缶表面の炭素14は、管理区域から持ち出せる基準を超えていたが、周辺の放射線量は基準を下回っていた。 富大でアイソトープを購入する場合、少なくとも約30年前からは、放射線取り扱い主任者を通して日本アイソトープ協会に注文して保管記録を作成し、管理区域内で貯蔵することが定められている。 ●職員らに聞き取り 富大は同様の事案がないか、放射性物質を取り扱う全職員や元職員に対して聞き取り調査を行う。 会見は五福キャンパスで開かれ、齋藤学長のほか、北島勲副学長、富大大学院生命融合科学教育部の高雄啓三教授、同大水素同位体科学研究センターの原正憲准教授が出席した。