富山大元教員宅に放射性物質入り缶 大学が50年前購入、未開封で環境への影響なし
富山大は16日、亡くなった元教員の県内の自宅で、放射性物質の入った缶1個が見つかったと明らかにした。約50年前に同大が購入したものとみられ、学外に持ち出された経緯は不明という。現在、家には人が住んでおらず、缶周辺の放射線量は基準を下回っており、人体や環境への影響はないとしている。齋藤滋学長らが会見を開いて説明した。 同大によると、8日に元教員の遺族から、ラベルに「放射性物質」「炭素14」などと記された金属製の缶が自宅内で見つかったと連絡があった。9日に調べると、未開封で、缶の表面から放射性物質の炭素14とトリチウムが検出された。缶表面の炭素14は、管理区域から持ち出せる基準を超えていたが、周辺の放射線量は基準を下回っていた。14日、原子力規制庁に経緯を報告した。 缶は直径約10センチ、高さ約15~20センチ。現在は同大杉谷キャンパスの放射線管理区域で保管しており、後日、日本アイソトープ協会に引き渡して処分するという。同大は元教員について、旧富山大の理系教員と説明したが、亡くなった時期を含めて詳細を明らかにしていない。
齋藤学長は会見で「本学の研究に対する信頼を損なう重大な事案。ご心配とご迷惑をおかけしたことを心よりおわびする。指導と管理を徹底し、再発防止に努めたい」と述べ、謝罪した。