児童生徒への性暴力で処分の教員、5年度は元年以降最多の157人 防止法も抑止ならず
令和5年度に児童・生徒に性暴力などを働き免職・停職処分を受けた教職員は157人と令和元年度以降最多となったことが文部科学省の調査で23日までに分かった。4年度に比べて38人増えた。教職員のわいせつ事案を巡っては、過去に処分を受けた場合は復職を制限する「教員による児童生徒性暴力防止法」が4年4月に施行された一方、十分な抑止効果が働いてない現状も浮かぶ。 157人が働いた性暴力の内訳は性交が61人、わいせつ行為が40人、児童買春・児童ポルノ禁止法違反が17人、痴漢や盗撮などが32人、卑猥な言動が7人となっている。 処分された教員の年齢層は20代が73人と最も多く、30代が41人、40代が19人、50代以上が24人。このうち、小学校の教員は35人、中学校が67人、高校が46人だった。 児童・生徒への性暴力が発覚した経緯の内訳は、被害者や保護者から教職員への相談が38人と最も多かった。警察からの連絡が31人、被害者らから管理職への相談は23人だった。学校や教育委員会が実施するアンケート調査での発覚は0にとどまった。 性暴力が振るわれた場面の内訳は、授業中が10人、放課後が30人、休み時間が13人、部活動中が6人だった。 過去に性犯罪や性暴力などで懲戒処分歴を持っていた処分教員も1人いた。セクハラを含めて半数以上の被害者が処分教員が勤務する学校の児童・生徒だった。 子供と接する仕事に就く人の性犯罪歴を雇用主側が確認する「日本版DBS」は令和8年度をめどに施行される。性犯罪歴のある人は刑の執行終了から最長20年は採用されないなど就業を制限する。(奥原慎平)