スルガ銀のシェアハウス融資問題 第三者委が不正認定、岡野会長ら辞任
シェアハウス関連の融資をめぐる問題で、スルガ銀行(静岡県沼津市)の第三者委員会(委員長・中村直人弁護士)は7日、調査報告書を同行に提出した。これを受けてスルガ銀行は岡野光喜会長、米山明広社長ら取締役5人が辞任し、有國三知男取締役を新たな社長に昇格させる人事を同日開いた取締役会で決定した。
不正の要因に「不衛生な企業文化」
スルガ銀行の第三者委員会は、同行の融資実態について300ページを超す調査報告書をまとめ、スルガ銀行に提出した。この中でスルガ銀行のシェアハウス投資などへの融資について、審査書類等に多くの改ざんや偽造が行われていたこと、スルガ銀行の相当数の社員がそれら不正行為に関与し、また、不正の事実を認識していたり、疑いを持っていたりしたにもかかわらず融資手続きを行っていたことを認定した。 第三者委の中村委員長は、報告書提出後の記者会見で、「無責任な営業推進体制を経営陣がつくってしまった」「(営業の現場などに)パワハラ、精神的な追い詰めがあった」などと述べた。
第三者委の報告書を受けて、スルガ銀行は本店のある静岡県沼津市内のホテルで記者会見を行ったが、会見場に岡野氏ら旧経営陣の姿はなく、この日の取締役会で選出された有國新社長、社外監査役ら3人が出席したのみだった。 有國新社長は「この一連の問題が起きて以降、心を痛めてきた。報告書を受けて大いに反省をしている。今後は社員、役員一堂で新しいスルガ銀行をつくっていかなければならない、そうした使命感で社長を引き受けた」などと述べた。会長を辞職した岡野氏が会見に出席しないことについては、「(岡野氏は)本日付けで銀行に関するすべての役職を退いている。新しいスルガ銀行の船出として3人で会見に臨んだ」などと話した。 また「不衛生な企業文化の中で営業活動が行われ、今回のようなことが起きてしまった」と述べ、不正が起きた要因にスルガ銀行の企業文化やガバナンスがあったとの認識を示した。第三者委員会は、営業現場などでパワハラが横行していたと指摘している。 旧経営陣の責任について、有國新社長は「取締役等責任調査委員会」を設置し、すでに退社した取締役、執行役員を含めて法的責任の有無を判断し、対応していくことを明らかにした。旧経営陣に対する訴訟の可否について、会見に同席した社外監査役は「責任調査委員会において調査し、その結果、法的責任が認められれば訴訟を含めて対応していく」との意向を示した。被害者弁護団が求めている代物弁済による問題の解決について有國新社長は、あくまでもオーナーとの個別交渉によって対応していく姿勢を示し、代物弁済には応じられないと話した。 新社長に昇格した有國氏は1966年、静岡県出身。1989年にスルガ銀行に入社、沼津セントラル支店長などを経て、2016年6月取締役監査部管掌、2018年6月より取締役融資管理部管掌。