人狼ゲームの恐ろしいルールに着目しつつ、王道コメディーに仕上げた「ルー・ガルー:人狼を探せ!」
ジャン・レノが祖父役。時代の流れに感慨深さが
ただ、「人狼ゲーム」らしい疑心暗鬼感や高度な駆け引き・読み合いを期待したなら、その点についてはガッカリしてしまうポイントかもしれない。残酷なゲームシステムに目をつけた作品とはいえ、今作は基本的にコメディー映画だ。 人狼探しどころか、読心術を得たことを家族に対して隠し通そうとする父がいたり、危機的状況にもかかわらず中世の人々を相手に女性人権運動家のような発言を行うアクティブな母がいたり、認知症気味の祖父がいたりと、それぞれが強い個性を持つ一家が時にいがみ合い、時に協力し合いながらタイムスリップを抜け出そうとする様子を描きながら、そのすれ違いの多い会話によって視聴者を笑わせてくれる作品であり、高度なだまし合いを描く作品ではないのだ。 ジャン・レノが認知症気味の祖父を演じているのには、なんとも時の流れを感じる。レノも気づけば76歳。孤高のクールなヒットマンを演じた「レオン」(1994年)の時点ですでに中年ではあったし、日本人としてはその後年齢を重ねたレノがドラえもん姿でテレビコマーシャルに出演しているのも目にしているため、今老人役を演じているのは自然なことなのだが、それでも「ジャン・レノがもうおじいちゃん役か」と感慨深くなってしまった。 絶妙にとぼけた役を演じるジャン・レノの存在感も良質なスパイスとして効いた今作は、映像にすると残酷な「人狼ゲーム」のルール、能力を得て中世にタイムスリップするロマンと興奮、そして人狼にいつ襲われるかわからないスリル、すれ違いで笑いを生む会話といった諸要素とともに、凸凹家族の絆を軽快に描く王道なファミリーコメディーとして楽しめる1作であった。 「ルー・ガルー: 人狼を探せ!」は、Netflixにて独占配信中。
ライター ヨダセア