旧ジャニーズのタレントたちは結局どうなっていくの? 「SMILE―UP.」が設立した新会社のトップ、福田淳氏が語る「狙い」と「野心」
「SMILE―UP.(スマイルアップ、旧ジャニーズ事務所)」が2023年12月8日、タレントのマネジメントを担う新会社「STARTO ENTERTAINMENT(スタートエンターテイメント)」の設立を発表した。早速、タレントとの新たな契約方式「エージェント契約」などを打ち出している。 「ジャニーさんに食われるぞ」13歳の自分には忠告の意味すら分からなかった
日本の芸能界は、タレント育成からプロデュースまでを芸能事務所が担う「専属マネジメント契約」が主流。特に旧ジャニーズ事務所はこれまで、デビュー前のジャニーズJr.(現ジュニア)に無償でダンスレッスンを受けさせるなどし、タレントを売り出すまでに相当の経費を負担してきた。エージェント契約になると、こうしたジュニアたちはどうなってしまうのか。 スタート社の最高経営責任者(CEO)に就いた福田淳氏に取材すると、話は旧ジャニーズにとどまらず、日本の芸能界全体に広がっていった。「口利きでずっとやってきた古い業界でしょうから、近代化させる良いきっかけにできるのではないか」(共同通信=小川一至) ▽「世界のエンタメ業界の中でも新しいビジネスモデル」 福田氏は、ソニーの子会社社長などを歴任。コンサルティング会社「スピーディ」の社長を務め、出版事業やスタートアップ投資などの企業経営を担ってきた。よく知られているのは、大手芸能事務所を独立した後、ほとんどテレビに出演できなくなった俳優「のん」さん(能年玲奈から改名)のエージェントを務めてきたことだ。
のんさんのケースは、日本の専属契約を巡るトラブルの典型と言えるかもしれない。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の主演で脚光を浴びたものの、独立騒動によって活躍の場が激減した。 芸能界の契約に詳しい弁護士によると、エージェント契約になるとタレントは仕事を選ぶ自由を得る一方、自らマネジメント体制を整える必要がある。米国ではエージェント側が自らのパイプを使い、営業代行のようにタレントを売り込むことが基本だ。 日本のタレントの間でも、自由の少ない専属契約への嫌悪感や労働者としての権利意識が高まっているという。「今後、エージェント契約を希望するタレントが増える可能性がある」 ある程度売れているタレントであれば、エージェント契約の方が都合がいいかもしれない。一方で、これから才能を伸ばさなければならないタレントの卵たちは育成の場を奪われるのではないのだろうか。 福田氏はこの点について、こんな見通しを示している。