【岩田稔】なぜ阪神岩崎優は失投したのか 異様な空気が手元を狂わせた、としか説明しようがない
<DeNA11-9阪神>◇11日◇横浜スタジアム 阪神が大逆転負けを喫した。最大7点リードをつけながら、2点差に詰め寄られていた8回に岩崎優投手(32)が同点2ラン、決勝ソロを被弾。阪神OBで日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(40)も経験豊富な左腕の失投2球に驚きを隠せなかった。【聞き手=佐井陽介】 【動画】筒香に1発を浴びる岩崎 ◇ ◇ ◇ ◇ あらためて野球は流れのスポーツだと思い知らされました。阪神は7点リードを2点差まで詰め寄られ、8回裏に絶対的リリーバーの岩崎投手がDeNA蝦名選手に同点2ラン、筒香選手に決勝ソロを被弾。簡単に「空気」や「雰囲気」という言葉を使いたくはありませんが、横浜スタジアム全体に響き渡るDeNAファンの大歓声、異様な空気が2球の失投を呼び込んだとしか表現できません。 岩崎投手は経験豊富で試合の流れを読める実力者です。少しでも打たれそうな気配を感じれば、四球で歩かせてでも、最悪の事態だけは回避できる繊細な感覚を持っています。そんな左腕が2点リードの8回1死一塁、長打力が売りの蝦名選手に対して、2ボール1ストライクから真ん中高めに直球を浮かせてしまうのです。さらに2死無走者で1発だけは避けたい場面。今度は2ストライクから筒香選手へのスライダーが真ん中に吸い込まれたから、本当に驚きました。岩崎投手の手元を狂わせるムードが漂っていた、としか説明のしようがありません。 確かにこの試合は序盤から「何が起こるか分からない空気」がプンプン漂っていました。強風が平凡な飛球を次々に安打に変え、記録にならないモノも含めて両チーム守備陣にミスが続出。そんな展開だったから、3回にリードを7点に広げる満塁弾を放った近本選手も「最後まで何があるか分からない球場なので…」と試合中にコメントしていたのでしょう。 阪神中継ぎ陣は桐敷投手が体調不良でベンチメンバーから外れる中、伊藤将投手が7失点降板した後、2番手・富田投手、3番手・漆原投手がよく無失点で耐えました。それでも頼みの岩崎投手が2発を食らい、まさかの大逆転負け…。「ダメージを残すな」というのは無理な話ですが、かといってズルズル引きずるわけにもいきません。翌日のDeNA戦ではタイガースの底力が試されそうです。(日刊スポーツ評論家)