初陣森保Jの背番号「10」中島翔哉はなぜ存在感を示すことができたのか?
北海道胆振東部地震の発生を受けて、初陣のはずだったチリ代表戦が中止になってから4日。十分な練習時間を積めなかったこともあり、森保一監督は特に前線で起用した南野、堂安律(FCフローニンゲン/オランダ)、そして中島へ自由に攻めていいと指示を送った。 ヨーロッパの舞台で結果を出してきた3人が、高いレベルの個を共演させることで至高のハーモニーが奏でられる。MF天野純(横浜F・マリノス)との交代でベンチへ下がった後半30分。万雷の拍手を浴びた中島は、指揮官の狙いを完璧に具現化していた。 A代表デビュー戦で初ゴールをマークしたのが、ハリルジャパンの最後の活動となった3月のヨーロッパ遠征。しかし、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の電撃解任を受けて、慌ただしく発足した西野ジャパンのなかに中島の名前はなかった。 「悔しいとかそういう感じはあまりなくて。(ワールドカップ期間中は)家族とたくさんの時間を過ごせたので本当に幸せでした。(森保ジャパンは)まだまだ始まったばかりですし、またこのメンバーで集まれるかどうかわからないので、お互いに成長してまた次に会えるように頑張りたい」 10月、そして11月と続く国際親善試合では、ロシア大会で主力を担った香川真司(ボルシア・ドルトムント/ドイツ)や乾貴士(レアル・ベティス/スペイン)、原口元気(ハノーファー96/ドイツ)といった2列目の選手が復帰してくる可能性も高い。 「楽しくサッカーができればいいです。あまり考え過ぎると逆に体が動かなかったりするので」 自らが選ばれなかったロシア大会組へライバル心を抱いているのか、と問われた167cm、62kgの小さなエース候補は苦笑いで否定しながら、再びキーワードを、ごく自然に口にしていた。 (文責・藤江直人/スポーツライター)