「人への投資」で注目のリスキリング、取り組んでいる企業は 8.9%にとどまる 課題は「モチベーションの維持」
リスキリングに関する企業の意識調査(2024年)
人手不足が深刻化するなか、「人への投資」による生産性向上は、企業経営にとって看過できないテーマとなっている。賃上げ機運が高まるなか、人材の確保・定着に欠かせない賃上げ原資を確保するためには、1人当たりの労働生産性を高めることが求められている。 リスキリングとは「新しい職業に就くために、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」であり、世界経済フォーラムにおいては2018年から3年連続でリスキリングセッションが開催された。日本では「骨太の方針」に盛り込まれ、2022年に岸田前首相がリスキリング支援として5年間で1兆円を投じると表明したことを皮切りに、政府も助成金などあらゆる支援策を積極的に講じている。石破首相の所信表明演説でもその重要性が触れられるなど、近年はより一層注目度が高まっている。 そこで、帝国データバンクではリスキリングに対する企業の取り組み状況やその内容、課題について調査を実施した。
リスキリングに取り組んでいる企業が8.9% 業種別では「情報サービス」「金融」で顕著に
リスキリングに関する取り組み状況について尋ねたところ、「取り組んでいる」と回答した企業は8.9%にとどまった。また、今後に意欲的な「取り組みたいと思う」は17.2%となり、合計した「リスキリングに積極的」である割合は26.1%という結果だった。 一方、「取り組んでいない」は46.1%にのぼり、半数近くが消極的である現状が浮き彫りとなった。加えて「意味を理解できない」(9.5%)、「言葉も知らない」(10.1%)がそれぞれ約1割にのぼっており、現時点でリスキリングへの取り組みは十分とはいえないだろう。 リスキリングに「取り組んでいる」企業に関して業種別でみると、デジタル人材として高度なITスキルが求められる「情報サービス」が20.5%で唯一の2割台だった。行員に対するデジタル教育が活発化してきた「金融」も19.5%と高く、この両業種が突出して高かった。