「健全な利己主義」の哲学と、それを受け入れるべき2つの理由
2つめの理由は:他者に誠実に向き合える
2020年の研究では、病的な利他主義は、うつ病、自己放任、賞賛への強い欲求といった不適応な心理的結果にも関連していることがわかった。対照的に、健全な利己主義は、より大きな心理的幸福、高い自尊心、より肯定的な人間関係と関連している。 健全な利己主義は、他人のニーズと並んで自分のニーズを主張することを促す。自己ケアを甘えとみなしたり、不要だと考えたりする人も多いが、より良い人生を送るためには、他者との間に個人的な境界線を引いて自分の幸福を優先することが不可欠だ。 自分が本当に必要としているもの、欲しいものをじっくり考える時間を取ると、本当の自分自身とより調和のとれた生き方ができる。自己犠牲を払って常に他人の期待に応えようとするのではなく、自分の欲求や願望を尊重し始めるのだ。 ■2. 他者に対して誠実に向き合えるようになる 研究者たちは、病的な利他主義には他者を助けるための利己的な動機づけが関わっているが、健全な自己中心性は、他者を利し、高めることを目的とした真の向社会的行動と関連していることを発見した。 人間関係において、健全な利己主義を実践すると、他者のニーズを満たすために無理をしすぎたときに生じる恨みの蓄積を防げる。これは、精神的および感情的な健康を守り、心の余裕を保つ。自分が最高の状態にあるとき、人はより誠実な場所から他人を助けることができる。 このような親切な行為は、義務感ではなく、気持ちの豊かさから生まれるものだ。結果的に「健全な利己主義」は、内面的なリソースを大きく消耗させる過度の利他主義とは異なり、自分を大切にしつつ他者にも誠実に向き合うことを可能にする。 自己犠牲がしばしば美徳として称賛される世界において、利己性の捉え方を再考することは重要だ。「健全な利己主義」とは、他者を無視したり自己陶酔に陥ったりすることではなく、自分の幸福が人生のあらゆる基盤であると認識することである。 自分自身のニーズを尊重することで、より充実した人生を送り、最も大切な人々に対しても最高の自分として向き合えるのだ。
Mark Travers