ガソリン価格が上昇 なぜ、“ガソリン値下げ隊”が登場しないのか?
ガソリンが値上がりしている。1リットル平均170円超えは目前で、2008年以来の高い水準だ。2008年は、当時野党だった民主党から「ガソリン値下げ隊」が登場し、ガソリン値下げに活発な主張を飛ばした。今回は消費税アップや物価上昇も伴い、庶民の懐により深刻なダメージを与えている。なのに、なぜ、今回はガソリン値下げの議論がほとんど聞かれないのだろうか?
「ガソリン値下げ」を訴えるのぼりが、全国あちこちではためいた。2008年のことだ。ガソリンの暫定税率の廃止を目指し、民主党は全国各地で遊説を展開。その先頭に立ったのが、同党議員でつくる「ガソリン値下げ隊」だった。ガソリン代は2008年8月には過去最高の185円(全国平均)を記録。同隊は、政権与党の自民党が道路の利権にしがみつくイメージを浮き彫りにし、国民から多くの支持を集めた。それから6年。再びガソリン高が人々の暮らしに襲いかかっている。
資源エネルギー庁によると、レギュラーガソリン店頭価格(7月7日現在)の全国平均は1リットル当たり169.7円。前週と比べ1.3円の値上がりで、上昇は11週連続だ。 このガソリン高騰の背景には、外国情勢がある。一つはウクライナ情勢。産油国のロシアから欧州への原油供給が止まる可能性が取りざたされる。さらに、同じく産油国のイラクでも6月から武装組織が活動を活発化させ、原油の供給が脅かされている。また円ドル相場が2013年初頭と比べ10%ほど円安になり、輸入コストが増大。さらには、経営の厳しさが増す国内の石油元売各社やガソリンスタンドが、収支改善のために原料の上昇分を店頭価格に反映させ始めたとの指摘もある。 このガソリン価格、内訳はどうなっているのか?日本エネルギー経済研究所石油情報センターは、今年4月のガソリン価格164.3円の内訳を試算した。それによると、原油は70.5円、ガソリン税は53.8円、石油石炭税2.54円、消費税12.2円。残り『25.3円』が、業者の利益や精製や流通にかかるコスト。こうしてみると、われわれが支払うガソリン代の4割以上は税金なのだ。 しかも、石油石炭税に含まれる地球温暖化対策税は、2016年4月から0.26円上がることが決定ずみ。さらに消費税率が2015年に10%に上がれば、これもガソリン代アップの要因となる。