日本サッカーの弱みは「チャレンジ」か。バレージがプレーで語る"世界標準"と、ピクシーのゴラッソから学ぶ技術と判断の関係
|「一時停止」のスペシャリストだったシャビ
ボールを奪う技術、手なずける技術などから離れ、判断それ自体が重要というケースも当然ある。攻撃に関する一例で言えば、速攻か遅攻か。当然、後者のように、ここは急がず、呼吸を整えてから攻めようという判断もある。 スペインで言う「パウサ」がこれに相当する。直訳は一時停止。英語で言うポーズのことだ。これも理屈や考え方は理解できても、実際に「いつ」やるのか、個々の判断によるところが大きい。 この分野のスペシャリストが、2000年代の後半からスペイン代表とFCバルセロナ(スペイン)の黄金期を支えたシャビだ。ゲームの流れ、戦況を冷徹に見極めながら、ひとまずテンポを落とし、十分な攻撃態勢を整える時間をつくった。 シャビに限らず、中盤に君臨してチームの頭脳となった名手たちの多くが、パウサの極意に通じている。シャビやアンドレス・イニエスタと最強のトライアングルを構成したセルヒオ・ブスケツ(インテル・マイアミ=アメリカ)もその1人で、今夏に引退した元ドイツ代表のトニ・クロースも同じ列に加えて良い。現役の選手で言えば、クロアチア代表の重鎮ルカ・モドリッチ(レアル・マドリード=スペイン)が代表格だろう。 日本では、現役時代の遠藤保仁(元・日本代表)が「一時停止」のエキスパートだった。現役の日本代表を見渡すと、守田英正(スポルティング=ポルトガル)が第一人者で、巧みにゲームのテンポを操っている。 (11/29に、森保ジャパンのアタッカー達を例に解説する記事を公開予定。続きをお楽しみに)
サッカークリニック編集部