【#佐藤優のシン世界地図探索89】トランプ革命④ 日本も敗北? 命運を握る石破首相
佐藤 だから、地政学的に日本は相当厳しい状況なんですよ。 ――そこからどのように「米露日三国条約を下田で結ぶ」という話に繋がるのでしょうか? 佐藤 まず天然ガスの重要性が増します。そして中東以外では、北極海に面したロシアのヤマール半島には潤沢なガス田があります。その開発には日本企業も参加しています。 ――なるほど! 一方、地球温暖化で北極の氷はガンガン溶けていて、北極海のロシア北部沿岸は船が通れるようになっている、と。 佐藤 そうです。通年航行が可能な北極海航路があります。 ――しかし、そこから日本に渡るにはベーリング海峡を通らないとなりません。 佐藤 だから、米露の敵対関係を改善しないとならないんですよ。 ――さらに冷え込んでいる日露関係を何とかしないと、宗谷、津軽海峡経由で、ウラジオストックなどの極東の港に到達できません。 佐藤 だから、その日露関係を改善する必要があります。 ――北方領土問題はどう解決するのですか? 佐藤 法的議論での問題解決は、もう不可能です。 ――じゃあ、どうするんですか? 佐藤 エネルギーと安全保障という点からアプローチするべきでしょう。 ――それが、米露日下田条約! しかし、なぜ条約締結地が下田なのですか? 佐藤 下田では1854年に日米和親条約、1855年には日露下田条約が締結されています。だから、米露日の条約締結には最良の場所なんです。 ――米露の間に日本が立ち、うまく動けますか? 佐藤 米国が弱くなっているので、日本のその力は活きます。さらに、日米の資本家の利益も合致しています。やはり、世界は国家独占資本主義だから、資本の利益が合致している場合にはそのプロジェクトは動くのです。 ――11月5日にプーチン露大統領は、モスクワに着任した各国の駐露大使から信任状を受け取る式典で、日本、イタリア、カナダなどの非友好国の名を挙げて、「ロシアは対立を求めていない」と発言しました。