年末年始の「帰省ブルー」カウントダウン、親と子に本音を聞いたら“心の葛藤”が深すぎた
あっという間に今年も12月、数週間後には年末年始の帰省シーズンとなる。実家への帰省は一般的に心休まるひとときと考えられているが、未婚男女の場合、「結婚はいつ?」というプレッシャーに晒されやすい時期でもある。現代の帰省ブルーの実態とは。(フリーライター 武藤弘樹) ● 安らぎの場所がプレッシャーへと変わる 「帰省ブルー」とは 実家は大人にとって基本的に心安らげる場所である。社会の重圧やしがらみからのひとときの保護を、実家は提供してくれる。 しかし、その実家が安らぎの場所とならない展開もある。特にこのご時世ならではの、ある顕現しやすいパターンがあって、それは親によって結婚・恋愛の話題が持ち出されるときである。 周知のごとく、婚姻率および婚姻件数は低下の一途を辿っていて、「結婚しないこと」がライフスタイルの新たな選択肢として定着してきているのが現在である。しかし、その親の世代は「結婚するのが当たり前」という世相の中で長年過ごしてきたため、未婚の我が子を眺めていると落ち着かない気分になりがちである。 そこで、子が実家に帰ってきた折に、親は程度は様々だろうが探りを入れる。中にはお見合いを勧める親もいるだろう。または、「近所の誰々ちゃんが結婚した」というまったく他意のない世間話でも、それが親の口から発せられたというだけで、子がそれをプレッシャーに感じてしまうこともある。 実家に帰っても結婚・恋愛の話になったら嫌だな……と、帰省が憂鬱に感じられるようになるこの現象は「帰省ブルー」と名付けられ、どうやら数年たったようである。 なお「帰省ブルー」は文脈によってやや意味合いが変わって、義実家に赴くのが憂うつな場合にも用いられる。当記事では未婚の子が感じる「帰省ブルー」に絞って言及をしていく。
● アンケートに見る 「帰省ブルー」の実態 と、ここまで前置きが長くなったが、帰省ブルーについて掘り下げたあるアンケートがあって、これが帰省ブルーの実態を表していて興味深い。さらに、親と子の間にある葛藤の様子も伝わってくるのである。 【参考】 ペアーズ 「帰省時の恋愛・結婚話に関する調査 ~ 4000人の回答から見えた、家族間コミュニケーションの難しさ」 https://note.com/pairs_challenge/n/n8f097b6b7b33 帰省時に実家で結婚・恋愛の話をしたことがある独身者のうち、プレッシャーを「感じる」としたのが46.1%、「感じない」が53.9%となった。少し差はあるが、だいたい半々である。 次に、そうした話題で恋活・婚活のモチベーションが低下したことが「ある」が42.9%、そうした話題が憂うつで帰省をやめた経験が「ある」は17.4%となった。帰省を取りやめるくらい、それを負担に思う独身者が一定数いるところに注目である。 では、親のどういった言葉が子にとってはプレッシャーとなるのか。以下が全回答である(言い回しは引用元から簡略化している)。 「恋人はいないのか?」……66.3% 「孫の顔が見たい」……34.4% 「○○さん(知人等)は結婚したらしいよ」……28.7% 親戚などの複数人が集まる場で恋愛・結婚の話を振られる……26.6% 今の自分の状況を否定される……22.4% 「相手を紹介しようか?」……10.4% 自分が結婚して幸せだった話をされる……6.5% その他……4.1% 何がプレッシャーになるかは人によりけりだが、親が相当繊細な注意を払っても結婚・恋愛の話題というだけで子の負担となってしまう可能性もあるようだ。 こうした世代間による価値観のギャップを前にして子が取る行動が、アンケートが示すところによると何やら現代的で面白い。