サプリメントを飲んでいる方へ―紅麹サプリメントの健康被害から学ぶべきこと
小林製薬が紅麹(べにこうじ)の成分を含む同社のサプリメントを摂取した人に健康被害が出ていることを報告したのは、今年の3月でした。 その後、厚生労働省やの研究所、日本腎臓学会などが調査結果や報告を出しており、一体何が起きたのかがだんだん分かりつつあります。 これまでに判明したことは何か、我々はこの件から何を学ぶべきかについて、日本腎臓学会認定の腎臓専門医であるイーヘルスクリニック新宿院 院長の天野方一先生にお話を伺いました。
◇クリニックに多くの患者さんが訪れた
今年3月22日に小林製薬が会見し、同社のサプリメント「紅麹コレステヘルプ」を摂取した人に腎臓病を発症している人がいることを明らかにしました。 これを受け、厚生労働省は5月28日に「工場内の青カビが培養段階で混入し、『プベルル酸』などの有害化合物が生成されたと推定される」という調査結果を発表。 現在も原因物質の最終的な特定が進められており、今回の健康被害が紅麹そのものによるものか、『プベルル酸』が原因なのか、現段階では決定的な情報は得られていない状況です。 実際、私が診察を行っているイーヘルスクリニックにも3月以降、「紅麹サプリメントを飲んでいたから診てほしい」という方が50~60人ほどいらっしゃいました。 血液検査をしたところ腎臓の障害が疑われる方が数人いたため、より詳しく検査や治療ができる大きな病院へ紹介状を書いています。この状況から、今回問題となっているサプリメントを摂取していた人は相当な数に上るのではないかと感じています。
◇ファンコーニ症候群や尿細管間質性腎炎が認められた
健康被害が起きた原因は今後明らかになると考えられますが、抑えておきたいのは3月31日に日本腎臓学会が出した中間報告です。 これによれば、紅麹サプリメントを摂取して腎臓病を発症した方には、ブドウ糖や重炭酸塩などが尿に過剰に排泄される「ファンコーニ症候群」に似た症状が出たとされています。 また、腎臓の生検では腎臓にある尿細管と周囲の組織に病変が起こる尿細管間質性腎炎、尿細管壊死(えし)、急性尿細管障害が主に認められました。