年末年始に太るのは避けられない?寒さの刺激を受けたほうが中年太りのリスクが減る?これ以上太りたくない人のための<長期休暇を過ごすポイント>
健康診断の結果を見て、体重が増えたのは年齢を重ねて代謝が落ちたから…と思っている方もいるようですが、神戸大学大学院保健学研究科准教授の山田陽介先生は「少なくとも60歳くらいまでは、若い頃(例えば20代)と比べて代謝の差はほとんどないということがわかっている」と話します。その山田先生「寒さの刺激を受けたほうが、代謝が上がって中年太りになるリスクが減らせる可能性がある」とも言っていて――。 【グラフ】衝撃!クリスマス前後の体重の変化をみてみると… * * * * * * * ◆褐色脂肪細胞は大人になるとなくなる? 体脂肪として体にたくわえられている脂肪細胞は、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類に分けることができます。その名のとおり、白色脂肪細胞は白く、褐色脂肪細胞はベージュ色をしています。 白色脂肪細胞が存在するのは皮下や内臓、すなわち皮下脂肪や内臓脂肪としてたくわえられる細胞です。 一方、褐色脂肪細胞はおもに鎖骨付近や胸まわりに存在し、脂肪を燃やして熱を産生する働きがあります。 ところが、褐色脂肪細胞は新生児の頃にもっとも多く、20歳くらいまでは存在しているのに、30~40歳代の中年期になるとほぼなくなってしまうのです。これもまた、中年太りの原因の1つと考えてよいでしょう。 ただ、褐色脂肪細胞は寒冷曝露を受けると活性化されるという説があります。これはまだはっきりと証明はされていないのですが、これまでの研究、例えば、アメリカのあるデータによると、寒い環境下でも代謝(基礎代謝)は上がらないこともあるとされています。
◆生まれた環境によって… しかし、私たちが発表した論文では、発展途上国の寒い地域では代謝が上がることが明らかになっています。 また、温かい地域に住む人との比較でも、暖房などの影響をとりのぞくと、やはり暖かい国の人のほうが代謝は低く、寒い地域の人のほうが高いことがわかりました。つまり、生まれた環境によっても、平均的な代謝は異なるということです。 さらに、寒い地域でも、近代化が進んでいれば、冬は暖房が効いた生活に変化しています。つまり、寒冷曝露を受けることが少なくなっているので、寒い地域に住んでいても、代謝が上がりにくくなっていると考えられます。 寒い環境に身を置くと、体を温めるために体内で熱をつくろうとします。これをC・I・T(寒冷誘導熱産生)といい、褐色脂肪細胞が関わっているとされています。 ちなみに、食事をするときにも熱がつくられますが、こちらはD・I・T(食事誘発性熱産生)といいます。 ともあれ、寒さの刺激を受けたほうが、代謝が上がって中年太りになるリスクが減らせる可能性があるということになります。