年金から保険料や税金が天引きされると聞き、老後の生活費が心配です。定年退職後の再雇用以外に対処法はあるのでしょうか?
老後生活は公的年金だけでは賄いきることはできず、定年退職後も働き続けることが必要となるかもしれません。 「人生100年時代」「生涯現役」いわれていますが、健康寿命は男性で72歳、女性で75歳(いずれも2019年調べ)となっており、いずれ働けなくなるタイミングはやってきます。 老後の生活費問題における「年金」と「就労継続」の関係について解説していきます。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
定年退職後も就労が必要なケースも。でも働き続けられるとは限らない。不足する金額を正確に把握しよう
仕事のストレスは大きいもの。最近よく耳にするFIRE(早期退職)といわずとも定年退職後はもう働きたくないという気持ちは誰しも持っているのではないでしょうか。 しかし、基本的に公的年金の老齢給付だけでは老後の生活費を賄いきることは難しいでしょう。 老後の生活費の捻出は、公的年金といった公助と、預貯金や定年退職後の就労といった自助によって行う必要があります。 老後資金を十分に準備できなければ、足りない金額を稼得する必要がありますが、健康状態の悪化や老化の進行によっていずれ働けなくなるタイミングは訪れます。
年金給付額=手取り額ではない?控除される科目とは
少子高齢化の影響により、将来的に所得代替率が低下すると懸念されている公的年金の老齢給付ですが、それでも老後の生活費の重要な柱となります。 国民年金は加入期間、厚生年金は加入期間に加え厚生年金保険料の納付額によって給付額が変化します。 「年金がいくらもらえるのか」は、老後生活を送る上で重要な指標になりますので、年金定期便などで給付額を確認しておくようにしましょう。 ここで気を付けたいのが給付額をそのままもらえるわけではないという点です。年間18万円以上の老齢年金を受けている場合、介護保険料・国民年金保険料(75歳以上の方などは後期高齢者医療保険料)、住民税と所得税が天引きされます。
就労を減らすには不足する金額を正確に把握することが大切
このように年金は全額が受け取れるわけはなく、それだけで生活費が全て賄えるわけでもありません。定年退職後は就労しないという選択をするには、現役時代に十分な蓄えを行うか不動産などの不労所得を築いていく必要があります。 老後の生活費が不足する場合は、定年後再雇用などで収入を得ていくことになりますが、就労はずっと続けられるわけではありません。不足額を定年退職後の就労によって補う方式だといずれ働けなくなった際に、老後貧困に陥ってしまうおそれがあります。 定年退職後の就労を抑えつつ資金的にも不安のない老後を送るためには、老後生活のお金の流れを明らかにするマネープランを立てることが重要です。 マネープランの基本は、まず収支計算になります。収入と支出の内容を明らかにし、節約できるもののピックアップと不足額を補うための手段を検討します。 しかし、単なる収支計算だけでは想定外のリスクが生じた場合、マネープランが大きく狂ってしまいます。マネープランを立てる際は、リスクについても加味するようにしましょう。 一般的なリスクとしては、インフレなどによる老後資金の不足などがありますが、この他に老後に生じるリスクとして、傷病による高額な医療費や配偶者との死別による老齢年金給付額の減少などがあります。 定年退職後の就労を減らすには、現役時代からの準備が不可欠です。老後資金の不足額を把握し、その対策を立て、併せてリスクへの備えを行うようにしましょう。 出典 厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供] 平均寿命と健康寿命 執筆者:菊原浩司 FPオフィス Conserve&Investment代表
ファイナンシャルフィールド編集部