「目が見えない人のメイク術」とは? さまざまな障がいを持つ人が訪れるコスメブランドOSAJIの挑戦
「誰かのために」が原点にある強み
――OSAJIのお店に行くと、店員さんがホスピタリティを大事にされているのが伝わってきます。優しくウェルカムな感じで対応してくれますし、きっとイレギュラーを言っても嫌な顔をされないだろうなっていう安心感があります。社風だったり、何か接客の指針みたいなものが共有されていたりするのでしょうか。 後藤:正直、こういうふうに接客しなさい、といった決まりごとは全くなくて。そもそもトゲトゲした人があまりいないというか。人の話にしっかり耳を傾けるスタッフが多いんです。手前味噌ですが、穏やかな人柄の人材が集まってくるんですよね。もちろん、自然とそういう人を採用している、というのもあるのかもしれません。 酒井:自分のためにではなく、「母親のために」というところからOSAJIは始まっていますし、「よりよい社会にしましょう」ということも茂田はよく言っています。人のために社会をよりよくしていこう、さらに言えば、一緒にわくわくを体感しようというマインドに共感してくれるメンバーが多いのかなと思います。 ――トップがそうだと、自然と同じ考えの方が集まってきますよね。 後藤:茂田は「いかに売り上げを伸ばすか」ということを全く話しません。私たちスタッフにも、精神やマインドの話をよくしています。 ――利益追求だけを考えると、そもそも「ブラインドメイクをやろう」とはならないのかもしれませんね。それをでも全社をあげてやっているというところに、社会で取りこぼされる人がいないように、という姿勢をすごく感じます。 酒井:ブラインドメイクの講習を受けたメンバーにアンケートをとったんです。「入社してから、ずっと受けたい講習会でした」と書いてくれたメンバーが多くいて嬉しかったです。OSAJIに入社すると、UBAのことはすぐに知りますし、興味を持つ人が多いのかなと思います。
撮影/加藤夏子 取材・文/ヒオカ 構成/金澤英恵