日立の新社長は「創業の地からやって来た大本命」 日立で生まれ育った男が、日立のトップにまで上り詰めた
12月16日の記者会見で、德永氏は「日立は3つのセクターが独立してきちんと稼げる事業体に転換した。これから先、日立ならではの価値を提供し、成長していくためには、GEMセクターやCIセクターとともにデジタルで共通した価値を作り出せるかがポイントだ」と述べた。 現在検討しているのは、各セクターでバラバラに提供しているデータセンター関連の事業を、1つのパッケージとして提供することだ。日立の持つデータセンターの運営ノウハウや受変電、空調(冷却)といった複数の技術を、セクター横断で組み合わせて顧客に提供しようという取り組みになる。
一方で、既存の技術とAI(人工知能)を組み合わせて新たな収益機会を生み出そうともしている。鉄道向けに開発した「HMAX」が典型だが、以前からある日立独自のテクノロジーにAIを組み合わせることで、付加価値をさらに高めようとしている。 德永氏によれば、日立がこうした「デジタルセントリック(デジタル中心化)」の取り組みを加速していく中で「DSSセクターはより重要な役割を担っていく」という。 自身が掲げる「デジタルをコアとした真の『ワン日立』」を実現し、日立を新たな段階へと導けるか。双肩にかかる期待と重圧は計り知れない。
梅垣 勇人 :東洋経済 記者