メーター巻き戻しならぬ「巻き進め」? ケーニグセグの認証取得用テストカーがオークションに登場!?
来る12月12日、イギリス・ロンドンにてボナムスが“Important Collectors' Motor Cars and Automobilia:重要なコレクター車両ならびに自動車メモラビリア”と銘打った「ザ・ボンドストリート・セール」と名付けられたオークションを開催する。 【画像】ケーニグセグの貴重なテスト車両?通常の車両とは異なる箇所が随所に。(写真37点) そんなオークションに2006年式ケーニグセグCCXRが出品されている。シャシー番号YT9M2G0V8H5007031(以下、7031)は、プロトタイプ(7030)に続く最初の量産車で当時、ケーニグセグ・オートモーティブ社の筆頭株主であった、ボード・エカー氏に納車されたものでありながら、同社によって認証取得のためのテストカーとして用いられた形跡が数多く残っているのだという。 ボード・エッカー氏、日本ではあまり聞いたことがないかもしれないが、「エッカー・グループ」を率いる工業デザイナー/投資家で、2009年にはケーニグセグがGMからサーブ買収に名乗りを上げた際、支援を約束した人物である。 ちょっとユニークなのは、中古車で問題となる「オドメーター改ざん車両」であるそうなのだ。“現在、1万8,698kmと表示されているが、実際は3分の1ほどしか走っていない”とボナムスの出品車両解説において記述がある。つまり、走行距離を巻き戻したのではなく、巻き進めた、ということ。なんでもバルセロナの欧州試験機関のテスト要件のひとつに、一定以上の走行が求められていたからだとか… 余計なお世話だろうが“そんなこと暴露して大丈夫?”と思ってしまう。 なお、2006年式でCCXRが存在すること自体、オカシナことだと気づいた方は鋭い。CCXRがお披露目されたのは2007年のことで、当該車両がケーニグセグによってE85燃料で走行可能な最高出力1018psを誇る、自社開発の4.7リッター・ツインターボV8エンジンに乗せ換えられた(CCXR化)のは、2014年である。 当該車両は初めて目撃された際、モデル名を示すバッジが取り付けられていなかった。また、フロントガラスのウォッシャーノズルは通常のCCRやCCRXとは異なるほか、フロントホイールアーチ後方のエアベントも当該車両はユニークで、この車を識別する特徴となっている。フロントのリップスポイラーとサイドスカートは、ほとんどのCCXのようにクリアコートカーボンではなく、CCRでよく見られるシルバー仕上げとなっている。 2012年に目撃された際、当該車両は当初装着されていなかったリアウィングを備え、ボディにはCCXRのバッジが付されていた。また、リアのライトは両側に赤ライト2個と白ライト1個だったものが、赤ライト1個と白ライト2個に変更されていた。当該車両のセンターコンソールもユニークでCC8S、CCR、そしてシャシー番号7048までの初期CCXモデルで使用された旧型のインストゥルメントクラスターが装備されているが、シャシーナンバー7063から導入された新しいインフォテインメントシステムが搭載されている。テストカーらしい“進化”の証と呼べよう。 また、2012年4月、ニュルブルクリンクのグランツーリスモイベントに登場した際、「STREETFIGHTER 7031」と「Koenigsegg Official Testcar」のステッカーが貼られていたそうだ。現在、リアフェンダーに「hydrolift fly without wings」、ドアにオーナーの名前「Bård Eker」のステッカーも追加されている。なお、hydroliftはエッカー氏が現在も経営するスピードボート・メーカーのことである。 そんなヒストリーが詰まった、CCXRの予想落札価格は140万ポンド~180万ポンド(2億7,000万円~3億5,000万円)と見積もられている。 文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)
古賀貴司 (自動車王国)