タイガースの近未来を左右しかねない衝撃人事…阪急阪神HDの株主総会で何が起こったのか?
これからは大きな決定を行う場合は、藤原オーナーが阪神電鉄の秦社長に相談、秦社長が、角CEO、杉山社長と合議して決定に至るという組織構造となり、根回しが複雑になり、阪急サイドの意向がより強く出てくることが予想される。 実は、3年前の2017年の株主総会では、角CEOが株主の質問に答える形でタイガースへの阪急サイドの経営介入をほのめかしていた。 「(球団経営の)トップは一人でないとうまくいきません。(当時の坂井信也)オーナーに対して(私が)横から中途半端な知識でモノを言うことはすべきではないと思う」と直接の経営タッチについては否定しながらも、「鉄道でずっとやってきた人間が、タイガースへいってマネジメントできるか? というとかなり厳しいものがあります。結果的に現場が混乱したり戸惑ったりするでしょう。若いうちから、そのへんの人事交流をしておかないとだめかなと思います。タイガースにつきましても、違った目で見ることも、ある意味いいかも」と語っていたのである。 新型コロナの直撃を受け、阪急阪神HDは大打撃を受けた。タイガースも大減収が想定される。タイガースは、200億円ほどの年間売り上げがあるが、3か月の延期と入場者数の制限を考えると、売り上げは、その半分以下に落ち込むだろう。これまでの”貯金”があり、タイガースの経営を揺るがすことにはならないが、阪急阪神HDとしては、この非常時にタイガースの経営をこれまでのように阪神に一任しておくわけにはいかないとの事情もあったのかもしれない。 だが、決断にスピード感が必要なプロスポーツビジネスの世界においてタイガースのトップが最終決定権を持たず、決定へのプロセスが複雑化することへの不安は残る。また14年前の29億円免除の経緯からするとタイガースのトップが意思決定の最高機関であるHDの役員からいなくなることは、野球協約上の問題が生まれるのかもしれない。 ファンからすれば、小難しい経営構造の変化より、「阪神タイガース」の名のもと、明日開幕を迎えるチームが強く魅力のある野球をする球団になることが一番大切なことではあるのだが……。