福原遥、“密子”の狂気と怯えを瞬時に切り替えた圧巻の演技<マル秘の密子さん>
福原遥が主演するドラマ「マル秘の密子さん」(毎週土曜夜10:00-10:54、日本テレビ系/Hulu・TVerにて配信) の第4話が8月3日に放送された。密子(福原)の過去と目的が明らかになった中、その複雑な感情を福原が見事な演技で表現した。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】ラスボス感漂う小柳ルミ子“五十鈴” ■謎多き主人公による、謎多きドラマ 本作の主人公・本宮密子(福原)は、ファッションだけでなくメーク、メンタルにいたるまで、ありとあらゆることをサポートし、どんな手を使っても依頼者を必ず成功させるトータルコーディネーター。彼女が次の相手に選んだのは、不運続きのシングルマザー・今井夏(松雪泰子)だ。 2人がタッグを組んで目指すのは、“女社長”への大変身劇。密子は天使か悪魔か、物語は魅惑のサクセスストーリーか怒涛のサスペンスドラマか、すべては“マル秘”のドラマとなっている。 ■密子の壮絶な過去が明らかに 前回ラストで衝撃を呼んだ、密子と九条開発会長・五十鈴(小柳ルミ子)の密会。だが第4話冒頭で、五十鈴が「あなただぁれ?」と聞いたことから、2人につながりはなく、五十鈴は密子が九条開発に悪い影響を及ぼさないか、けん制しただけのようだった。 そんな中、九条美樹(渡辺真起子)と娘の玲香(志田彩良)の差し金による夏の夫・丈晴(山中聡)の登場で密子の過去が明らかになった。 酒に酔い、暴れる丈晴を見て密子の顔に怯えの色が浮かぶ。フラッシュバックするのは幼いときのこと。親からかなりのDVを受け、姉と共に児童養護施設に逃げ込んだほどだった。 密子はなんとか気持ちを立て直し、酔っぱらって倒れていた丈晴の首に注射をし、拉致した。 ■密子の感情を見事に表した福原遥 意識が戻った丈晴に、今井家に近づくなと脅す密子。だが、丈晴は薄笑いを浮かべ、かつて自分が家でDVしていたときの智(清水尋也)や彩(吉柳咲良)と同じ「おびえ切ったガキの目をしている」と挑発した。 再びフラッシュバックに襲われ呼吸が荒くなる密子。かつての姉を思い出した瞬間、何かがプツンと切れ、密子はナイフを丈晴の首に突き刺そうと動いた。すると現れた夏が密子の手を止めた。 「あなたの人生が台無しになるだけ」と言う夏に、心の痛みを訴え「あなたには、この痛みが分からない」と密子。 けれども密子によって変わることができた夏は「私が密子さんの分までちゃんと痛がるから。だから、あなたはもう苦しまなくていい」と語り掛け、密子が夏にかけた言葉である「あなたが変われば世界が変わる…そうでしょ?」と言い、ずっと支えるからと寄り添う気持ちを込めながら諭した。 なぜ、密子は夏に近づき、九条家に立ち向かうのか。実は密子の姉は、九条開発前社長・謙一(神保悟志)の秘書をしていて、半年前の火事で亡くなった小原鞠子(泉里香)。鞠子は、謙一が進めていたプロジェクトの発案者で、火事が事故だとは思えずに、その真相を探ろうとしていたのだった。 物語が始まってから秘密になっていたことが明らかになった第4話。明るく穏やかな笑顔と鋭く射るような視線で「天使か悪魔か」分からない密子を演じてきた福原だが、今回はDVのフラッシュバックに怯える表情、それでも心に秘めた姉への思いから奮い立たせた狂気を瞬時に切り替えて物語を引っ張っていった。 そこに加わる、これ以上自分に何ができるのかという悲しみ、寄り添って抱きしめてくれる夏に驚きつつも涙と共にうれしさが込み上げる様子。振り幅があった密子の感情を見事に表現した演技は圧巻のひと言だ。 さて、物語はラストで密子と夏に電話した丈晴の命が奪われるという衝撃展開を迎えた。まだ明かされていない“秘密”に向かって加速する。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部