何を書かれても揺るがなくなった――紗栄子、「偽善」「売名」無責任な声にもぶれない理由
昨年8月からは栃木県で「NASU FARM VILLAGE」を運営。東京ドーム11個分の広大な敷地で、19頭の馬、従業員10名と共に、住民票も大田原市に移し、牧場の運営ビジネスを始めた。 「自分が運営に乗り出さないと、馬が殺処分されてしまうかもしれなかった。働いていらっしゃる方の雇用がなくなってしまう可能性もあった。理由は、この二つだけです。いま飛び込まないと、一生後悔すると思ったんです。無知だからあきらめるのではなく、一生懸命頑張ってみようと。まず、毎朝の草むしりをしたり、ブルーベリーを摘んだり、ときにはトラクターの運転をしたり、皆と同じ生活をしました。そうして初めて、仲間(従業員)の気持ちが少しでもわかると思ったから」
媒体を介さなくても生きていけるようになった
己の商才と行動力で道を切り開いてきたが、離婚前後の週刊誌やワイドショーの報道が独り歩きし、イメージは悪かった。この10年、紗栄子が行動を起こすたび、ネット上では「偽善」「売名」「養育費」などの言葉が飛び交った。現在、社会問題化しているSNSでの誹謗中傷を最も受けた人物のひとり、と言っても過言ではない。 「匿名のSNSやコメントでの発信に対して、誰もが責任を持ってほしいなと思います。一人の何げない発信で、傷つく人がいる。命を落とす人がいる。ゲームと違って、人は生き返らない。誰かに何か言われるという怖さで躊躇して、チャンスを逃している人もたくさんいるはずです。逆に言えば、いまは一人ひとりが影響力を持っているので、良い方向に使えばいいと思います」 ネットに苦しめられる一方で、ネットに救われた面もあった。2010年代に入って以降、SNSが急激に発達。従来のブログに加え、インスタグラムも活用し、ファンとの良好な関係を築いた。
「応援してくださる方とダイレクトにつながれるようになった。媒体を介さなくても生きていけるようになったから、必要以上にメディアに出なくてもよくなりました。以前はテレビでの発言がネット上で曲解されて、傷つくこともあったし、なにせ子どもたちを守らなきゃいけなかった。だから、できるだけ自分が注目されることは避けたかった。わざわざ傷つけられるリスクを背負いながら、イメージコントロールできない場所に飛び込まなくていいと考えていました」 牧場運営の成功や支援活動の拡大などの夢を実現するため、影響力を持ち続けたいと語る紗栄子。SNSはファンと積極的な交流を図れるが、新規開拓には向いていない。今後、メディアとの関係にどう折り合いをつけていくのか。 「私の弱点ですね。不特定多数の人に自分の活動を理解してもらうためには、わかりやすくいえば、もっとマスメディアに出たほうがいい。以前ほど理不尽な発信をされなくなったし、支援活動に協力してくださる方や、現場で直接触れ合った方々のおかげで、何を書かれても揺るがない気持ちを持てるようになった。そして誰に何と言われようと、10年以上続けていることが自信につながっている。やっと、マスメディアとも向き合えるタイミングがきたなって。一人でも多くの方に自分の活動を知ってもらうために、アプローチの仕方も変えていかなきゃいけないと思っています」 バッシングを乗り越え、新境地を開拓した紗栄子は、自身のYouTubeで「今どのくらい幸せ?」という質問に「120%」と回答している。