「私は生きたい」 ウクライナで末期がんと闘う少女の最期の日々をピュリツァ―賞写真家が追う
ピンク色の葬儀
ソーニャの葬儀の案内には、「黒ではなく、ピンクの服を着てきてください」と書かれていた。ヘリウムガスでふくらませた巨大なユニコーンやピンクと白の風船が、教会に安置されたソーニャの小さな白い棺の周囲にあふれていた。彼女の腫れた顔と傷ついた目の周囲はピンクのベールと、ピンクと白のカスミソウで飾られていた。 ミスト・ドブラのコミュニティの仲間が蓋の開いた棺を囲み、ナタリアとマルタが棺の両側に腰を下ろした。オルハは、ミスト・ドブラの職員であるユリア・ポドキディシェヴァが、ソーニャについて書いたおとぎ話を朗読するのを録音していた。葬儀のとき、彼女はそれを再生した。 私たちはともに光り輝く冒険をたくさんしてきました。絵をいっぱい、いっぱい描いて、写真を撮って、数え切れないほどすてきな思い出を作ってきました。 きっとこう思っていたのでしょうね……いちばん大切なことは目には見えない、それが見えるのは心だけ。大切なものは、心にしか見えないの……。