子どもをSNSトラブルから守る法律の話 ネット上で人やお店を中傷すると、どんな罪になる?
名誉って、何?
さて、だれかの言動で自分が傷ついたとき、「名誉が損なわれた!」と感じることがあると思います。では、ここでいう「名誉」って、そもそもどんなものでしょうか? 法的にいうと、人が社会から受ける客観的な評価のことを意味します。ちなみに名誉は、企業にも存在します。その人がエラいのかエラくないのか、その会社がすごいのかすごくないのかは、関係ありません。だれでも名誉は持ち合わせています。 ただし、自分が持っているプライドのようなものとはちがいます。「私ってイケてる!」と思っていたとしても、それは「名誉感情」であり、「名誉」ではありません。名誉とは、客観的に決まるものです。 そして名誉は、ときに、表現の自由(憲法21条)と対立関係になります。 自由に表現することは、憲法上で保障されている、だれにでも認められる大切な基本的人権のひとつです。 でも、だからといって、他人の名誉を傷つけるような表現も無制限に認められるわけではありません。とくに、情報がすぐに拡散するおそれがある最近の社会は、無責任で安易な情報の発信が、だれかの名誉をまたたくまに傷つけてしまう危険があります。シュリさんも、SNSへの投稿にはちょっと気をつけたいところですね。
“名誉を傷つける“という犯罪
では、もし他人の名誉を損なうことを発信してしまったら、何か罪に問われるんでしょうか? 刑法上で、「名誉毀損罪」というものがあります。 この条文からもわかるように、“公然“と“事実を摘示“して人の名誉を毀損することによって、名誉毀損罪が成立します。 はい。では、“公然“とはなんでしょうか? これは、「不特定または多数の人が、知ることができる状態にある」ことを意味します。かんたんにいうと、「大勢の前で」ということです。 ただし、たとえ伝えた相手が特定されていたり、少数だったりしても、そこからさらに他者に広がっていく可能性があれば、“公然“であるとされることもあります。ただのウワサ話をしていただけのつもりでも“公然“であると判断される場合もありますし、とくにSNSへの投稿は、あっというまに拡散する可能性が高いため、公然性が認められやすいのです。 じゃあ、“事実を摘示“するとは、どういうことでしょうか? かんたんにいうと、「こんなことがあった」などと示すことをいいます。“事実“といっても、必ずしも“本当のこと“である必要はありません。つまり、ウソの内容であっても、そういうウワサがあるということでも、“事実の摘示“になりえます(そもそも名誉毀損に関しては、ウソの情報をいうほうが悪質ですよね)。 今回の事例でも、シュリさんは、お店で15分くらいしか待たされていないのに「30分も待たされた」と書き込んだり、お店に変な虫などいないのに「変な虫がいた」と書き込んだりしていますね。これも“事実の摘示“にあたります。