仕事が速い人ほど、ビジネスメールの「言葉遣い」に無頓着である理由
ビジネスシーンとプライベートで言葉を使い分けよう
「自分は分かる」では成立しないのが、ビジネスのコミュニケーションです。そのため、言葉選びも「相手にも分かる」が基準になります。経験や知識、考え方や受け止め方は人それぞれなので、自分と相手は異なっていることが当然であると考え、相手の理解を想像した言葉選びや伝え方の工夫をしましょう。
ずるい人は、無駄なことで悩まない
入社したばかりの頃は、メールを作成するたびに上司に添削されたかもしれません。そのとき、上司から誤字だけでなく、敬語や日本語の間違いまでも、指摘された経験はありませんか。 誤字や脱字、日本語の間違いなどのような、絶対的な正解がある箇所は、上司も見つけやすいため、指摘の回数が多くなりがちです。指摘されることが多いほど、メールの改善ポイントは「文法」「敬語」にあると強く印象に残ります。
ビジネスシーンでよく使う敬語は限られている
前述した通り、いいビジネスメールは、以下の2つの条件を満たすものです。 ①伝わるか ②不快感がないか そしてこの2つを達成する上で、文法や敬語の正しさはプラスアルファの要素。優先順位は内容の方が高いのです。敬語は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」などに分かれます。メールで使うのは動作や状態に関わるものが多いので、ある程度は押さえておきましょう。
「丁寧語」が使えれば良い
敬語の使い分けについては、学生時代に細かく教えられているはずです。 しかし、だからと言ってメールを書くときに「思っているのは自分で、自分を下げるから謙譲語で......思うの謙譲語は......『存じる』だ!」と、毎回考えていたら、時間がいくらあっても足りません。ずるい人は、ここは割り切って「思います」を使っています。 ・謙譲語:お申し込みしたいと存じます。 ・丁寧語:お申し込みしたいと思います。 敬語というと「尊敬語」「謙譲語」を真っ先に思い出すかもしれませんが「丁寧語」も立派な敬語。上の2種類の言葉は、どちらも正しいのです。間違えたり、正しさを追及してたくさんの時間を使ったりするくらいなら、初めから、丁寧語で書けばいいのです。 メールだけに限らず、ビジネスのコミュニケーションでは、丁寧語が使えれば十分合格点でしょう。
丁寧にし過ぎると空回る
突然ですが、ここで問題です。この言葉は正しい敬語でしょうか? 「おっしゃられる」 これは二重敬語と呼ばれる、同じ種類の敬語を2つ重ねてしまう、よくある間違った敬語の使い方です。「おっしゃる」は尊敬語で、「れる・られる」は尊敬の助動詞なので、「おっしゃられる」は尊敬語が2つ重なっています。 正しくは「おっしゃる」です。丁寧な言葉にしようとするほど、この二重敬語になってしまいがちなので、注意しましょう。
平野友朗(一般社団法人日本ビジネスメール協会代表理事)