仕事が速い人ほど、ビジネスメールの「言葉遣い」に無頓着である理由
ずるい人は、語彙を増やさない
かっこいい社会人は、難しい言葉を使っている! 社会人たるもの、難しい言葉を使いこなさなくてはいけない! そう思って、ふさわしい言葉や難しい言い回しを、インターネットや辞書で調べながら、メールを書いていませんか。いい言葉が思い浮かばず、自分には語彙力がない、と自信を失っている人もいるかもしれません。 でも、それは大きな勘違いです。実はずるい人は、言葉や言い回しに気を配らずにメールを書き、仕事で成果を上げています。なぜ、そんな少ない労力で書いたメールでも、仕事がうまくいくのか。まずはメールを受けとる側の立場になって、一緒に考えてみましょう。
メールは中学校までに習う日本語でOK!
あなたが送ったメールの中に難しくて分からない、または知らない言葉があったら、メールを受けとった相手はどうすると思いますか。 私なら、その言葉をコピーして、インターネットで調べてから読み進めます。しかし、忙しくてそんな時間がないときには、その言葉の意味を推測しながら、なんとなく読むと思います。そして全てを読み終わった後「ただメールを読もうとしただけだったのに、なんだか大変だったな」と思うことでしょう。 そう、あなたがよかれと思って使ったかっこいい言葉が、相手の負担になっているかもしれないのです。そうならないためにも、専門用語や製品名など、そのまま使わなくてはいけないもの以外は、誰もが分かる易しい言葉や言い回しを使った方が、自分も書きやすいし、相手も読みやすいのです。 【簡単な言葉への書き換え例】 ・ご寛恕ください → お許しください ・慚愧に堪えない思いです → 非常に恥ずかしい思いです ・ご検討賜りますようお願い申し上げます → ご検討ください ・ご笑納ください → お納めください
その言葉、誰でも分かりますか?
言葉とは難しいもので、あなたが正しい使い方をしているからといって、相手もその言葉を、正しい意味で受けとってくれるとは限りません。 例えば「情けは人のためならず」という慣用句があります。誰もが、一度や二度は聞いたことがあるのではないでしょうか。一般的に認知されている意味は次の2種類があります。 ①人に情けをかけると、相手のためばかりでなく、巡り巡って自分のためになる ②人に情けをかけると、相手のためにならない ①が本来の正しい意味なのですが、文化庁の『国語に関する世論調査』(令和4年度)によると、半数近くの人が②の意味だと思うと答えているそうです。 この慣用句のように、本来の意味とは異なる意味で使われている表現は他にもたくさんあります。 また、若い世代がよく使う「寒い」「詰む」「引く」「盛る」「推し」などの言葉も、誤解が生まれるかもしれません。「気持ちが冷める」「つまらない」という意味で使った「寒い」を、相手が「部屋の温度が低いのかな」「風邪を引いているのかも」と解釈してしまう可能性は十分にあるのです。だからこそ、誰でも分かる簡単な言葉を意識して使う必要があります。