【愛子さま23歳のお誕生日】敬宮愛子さま、そのお名前に込められた想いとは?
12月1日、愛子さまは23歳のお誕生日を迎えられました。今年は大学をご卒業され、本格的にご公務に取り組まれ始めていらっしゃいます。どこに行かれても、愛子さまの人気はたいへんなもの。その素晴らしい笑顔を一目見ようとたくさんの人々が集まります。 雅子さまが心を込めてお育てになった愛子さまの、ご成長の様子を振り返ります。 【写真】「なんて可愛らしい…!」0歳の愛子さま。そしてご成長された今、単独ご公務や園遊会でのピンクの振袖姿など
「みどり児のいのちかがやきて」とご誕生を喜ばれた雅子さま
2001年(平成13年)12月1日、雅子さまは宮内庁病院で愛子さまをお産みになりました。身長49.6センチメートル、体重3102グラムの元気な赤ちゃんです。さっそく皇居に記帳所が設けられると、ご誕生からたった2日間で12万人もの人々がお祝いの記帳に訪れたのです。内親王ご誕生の明るいニュースに、国中がお祝いムードに包まれました。 愛子さまを胸に抱かれ、宮内庁病院を退院される雅子さま。写真/JMPA 年が明けて、1月15日には新春恒例の歌会始が皇居宮殿「松の間」で行われました。お題は「春」。雅子さまは、無事に生まれた赤ちゃんへの喜びをこのようなお歌によまれました。
生(あ)れいでしみどり児のいのちかがやきて君と迎ふる春すがすがし
生まれたばかりの赤ちゃんの命が輝いてみえる、と歌われた雅子さま。赤ちゃんの誕生を心から幸せに思われているご様子がうかがえます。雅子さまにとっても、国民にとってもほんとうにうれしいご出産でした。
「人を愛し、人からも愛される人」にという願いを込めた名前
お誕生から7日目には、お名前を決める「命名の儀」が行われました。同時に「浴湯の儀」「読書・鳴弦(めいげん)の儀」が行われ、文運と健康が祈願されました。 「読書の儀」は、赤ちゃんが沐浴している間に、博士が漢籍のなかのお祝いの一節を読み上げるというもの。「鳴弦の儀」は、弓に矢をつがえずに弦を引いて音を鳴らす魔除けの儀式です。NHK大河ドラマ『光る君へ』のなかでも再現されていましたので、ご覧になった方もいるでしょう。 これらの古式ゆかしい誕生の儀式は、すでに平安時代の『紫式部日記』にみられます。左大臣藤原道長の娘彰子が、敦成(あつひら)親王(のちの後一条天皇)をお生みになったときのご様子が書き残されているのです。天皇家は、平安の儀式を連綿と受け継がれているのです。 内親王のお名前は「愛子さま」、ご称号は「敬宮(としのみや)」に決まりました。 皇太子浩宮さま(今の天皇陛下)は、2002年2月23日のお誕生日に際しての記者会見で、愛子さまの命名についてこのように話されました。 「皇室としての伝統をふまえながら、字の意味や声に出した響きがよく、親しみやすい名前がよいというふうに考えました。……とかく人間関係が希薄になりがちな今の世の中にあって、人を敬い、また人を愛するということは、非常に大切なことではないかと思います。そして、この子どもにも、……人を敬い、人からも敬われ、人を愛し、人からも愛される、そのように育ってほしいという私たちの願いが、この名前には込められております」 浩宮さまと雅子さまの願いは、今、愛子さまが国民に慕われるというかたちで花開いていらっしゃるのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~ 参考文献/『新しい時代とともに――天皇皇后両陛下の歩み』(宮内庁侍従職特別協力、毎日新聞社)、『皇室 THE IMPERIAL FAMILY 第102号』(扶桑社)、『天皇家の姫君たち 明治から平成・女性皇族の素顔』(渡辺みどり著、文春文庫)、『美智子皇后と雅子妃 平民妃十年の苦闘』(渡辺みどり著、講談社)、宮内庁公式ホームページ キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。 バナー写真/JMPA 構成・文/高木香織
高木 香織