足元の円安は「明らかに投機」、過度な変動容認せず-神田財務官
(ブルームバーグ): 神田真人財務官は25日午前、為替市場で円安が進んでいることに関して、経済のファンダメンタルズに沿っておらず「明らかに投機」との見解を示した。「常に準備はできている」と述べ、介入も辞さない姿勢を明確にした。財務省内で記者団に語った。
神田財務官は「今の円安の動きは、ファンダメンタルズに沿った方向というわけではなく、明らかに投機が背景にあるものと考えている」と強調。その上で、「投機による過度な変動は、経済に大きな悪影響をもたらすものであって容認することはできない。行き過ぎた変動に対してはあらゆる手段を排除せずに適切な行動をとる」と述べた。
米商品先物取引委員会(CFTC)の19日までのデータによると、ヘッジファンドは21年以来一貫して円ショートを維持しており、日本銀行が政策を正常化しつつも緩和的な姿勢を維持するとの期待から、円ショート取引はここ数カ月も人気が高い。神田発言後に一時円高に振れたものの、151円台で推移。約34年ぶりの安値に接近している。
りそなホールディングス市場企画部の石田武為替ストラテジストは「けん制の発言トーンが上がっている」とし、「短期的には介入警戒感で円高に動きやすくなる」と述べた。一方で、ドイツ証券外国為替営業部の小川和宏ディレクターは、発言内容は市場の想定内で、米国の利下げが想定よりも後ずれするリスクから、先高観が強いドルが下落した局面での買い意欲が強いことが、円の重しになっているとの見方を示した。
この日の東京外国為替市場の円相場は神田氏の発言を受けて、対ドルで一時151円05銭まで前週末比0.2%上昇したが、その後は上げ渋り151円台前半で推移している。
22年の介入水準に迫る円安、高まる要人発言の注目度-為替介入ガイド
神田財務官は円安の背景にある日米金利差は明らかに縮小しており、「今後もさらに縮小していくことが期待される」と説明。介入に踏み切る際の水準については「意識をしていない。何よりも過度な変動であるかどうか、それが経済にどれだけの影響を及ぼしていくかを総合的に勘案している」との見解を示した。