大量閉店の「4℃(ヨンドシー)」、「ジュエリーツツミ」と分かれた明暗。“手軽な値段”にこだわった実直さに軍配が
ギフト・自分用で人気の高いネックレス
ツツミの成長を支えているのがネックレス・ブレスレット。2024年3月期の販売額は前期比16.4%増の97億4200万円。3期連続で成長率は15%を超えています。2020年3月期の販売額は63億6700万円で、コロナ禍を経て売上を30億円以上積み増したことになります。 一方、指輪は2024年3月期の販売額が前期比0.3%増の60億8000万円。2020年3月期は59億1200万円でした。このカテゴリーは60億円付近での推移が続いています。 ネックレスはギフトの鉄板とも言えるもの。マーケティング支援などを行う株式会社LeoSophiaのクリスマスプレゼントに関する調査によると、もらって嬉しかったプレゼントのトップはネックレスで全体の26.7%。指輪は8.3%でした(「恋人へのクリスマスプレゼントに悩む人必見!もらって困ったもの・嬉しかったものを200名に調査」)。 これは指などのサイズに関係なくプレゼントができるという手軽さが背景にあります。 ネックレスは女性自身が自分のご褒美などとしても購入されており、特に若い世代に人気のカテゴリー。つまり、男女問わずに好まれるジュエリーなのです。
価格高騰が止まらない
ツツミの最大の特徴は低価格であること。同社は創業以来、宝石の買い付け、製造、販売までを一貫して行う垂直統合システムを導入しており、適正価格で提供することを強みとしてきました。 ヨンドシーホールディングスのアパレル事業の売上規模がまだ小さかった2019年2月期の同社の原価率は35.4%。同時期のツツミは46.8%。ヨンドシーは付加価値の高い商品、ツツミは手軽な値段の商品という特徴があります。ツツミの実直とも言えるこの競争戦略こそ、今の時代の強みとなっているのでしょう。 実は国内のジュエリー価格は上昇しています。 日本銀行が発表している企業物価指数によると、2020年を基準値(100)とした場合の2024年のジュエリー価格の指数は162。ジュエリー価格は2022年から急激に上昇しています。金の価格はロシアのウクライナ侵攻によって高騰し、この年に過去最高を記録しました。 ジュエリー価格の指数は2020年より前の2018年、2019年はほとんど変わっていません。インフレの影響も相まってここ数年で価格は急上昇したのです。