自分の歯を移し替える「歯牙移植(しがいしょく)」はご存じですか? 治療の条件や費用も歯科医が解説!
気になる歯牙移植の費用や治療期間、移植を成功させるためのポイント
編集部: 歯牙移植の費用に保険は適用できますか? 水野先生: ドナー歯が親知らずの場合は保険が適用できますが、それ以外の歯を使う場合は保険適用外となります。 編集部: 歯牙移植をしてから、どれくらいで普通に食事ができますか? 治療期間の目安を教えてください。 水野先生: おおよその目安は、移植後半年程度です。最初の1カ月半は硬い食べ物は避けていただき、その後、歯に揺れがなければ少し硬いものから食べ始めていきます。 編集部: 歯牙移植を成功させるためには、どのような点に気をつけたらいいですか? 水野先生: まずは、ブラッシングの仕方です。移植直後は歯ブラシの当て方に注意が必要ですが、歯が定着し始めたら逆にしっかりと磨いてほしいです。また、過去に保険適用で歯牙移植した患者さんの中には、途中で通院をやめてしまい、結局は抜歯せざるを得なくなったケースが3例ほどありました。安価な保険治療だからと軽く考えてしまうのかもしれませんが、歯牙移植をおこなうのであれば、最後まで通院を続けていただきたいと思います。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 水野先生: 自分の歯を失った際、インプラントは高額なので諦めてしまう人も多いのですが、歯牙移植という方法があることを知っておきましょう。健康な親知らずが残っていれば保険適用で移植は可能ですし、ほかの歯と同じようにしっかり噛めるようになります。最終的な治療法の選択は患者さん次第ですが、このような選択肢があることも知っておき、ぜひチャレンジしていただきたいと思います。
編集部まとめ
歯牙移植は抜歯が必要になった際に、健康なほかの歯をそこに移し替える治療法とのことでした。ドナー歯としては主に親知らずが用いられ、条件があえば費用に保険が適用されます。「インプラントはハードルが高い」と感じている人は、自分の歯を活用する歯牙移植を選択肢の1つに加えて、検討してみましょう。
【この記事の監修歯科医師】
水野 博之 先生(水野歯科医院) 大阪歯科大学卒業。その後、東京医科歯科大学歯学部顎顔面外科学分野入局、歯科医院で勤務医として経験を積む。2016年、大阪府堺市に位置する「水野歯科医院」の院長に就任。1977年の開業以来、親子2代にわたって地域に愛される歯科医院を目指し、患者の気持ちを第一に、最大限メリットのある治療に努めている。歯学博士。国際口腔インプラント学会、日本口腔インプラント学会の各会員。