自分の歯を移し替える「歯牙移植(しがいしょく)」はご存じですか? 治療の条件や費用も歯科医が解説!
歯牙移植ができる条件 どんな人が治療を受けられる? 成功率は?
編集部: 歯牙移植は、希望すれば誰でも受けられる治療なのでしょうか? 水野先生: 「ドナー歯(移植する歯)」と「移植先(歯を移植する場所)」のそれぞれで一定の条件をクリアしていれば、歯牙移植できる可能性は高くなります。 編集部: ドナー歯の条件を教えてください。 水野先生: ドナー歯の条件は、大きく分けると「むし歯や重度の歯周病がなく、細菌に感染していないこと」「歯のサイズが移植する場所にマッチしていること」「根っこの形が単純なこと」「健全な歯根膜が残っていること」の4つです。 編集部: では、移植先は、どのような条件を満たす必要がありますか? 水野先生: 移植先は「骨が十分残っていること」が大前提です。移植する場所の骨の形や形態次第で、治療の成功率が左右されます。例えば、歯周病で骨がかなり失われていると成功率が下がってしまうため、移植は難しいでしょう。 編集部: ドナー歯は親知らずがよく用いられるという話でしたが、親知らず以外の歯をドナー歯に使うこともあるのでしょうか? 水野先生: はい、あります。具体例を挙げると、歯列から飛び出した歯や、噛み合わせに関与しない歯などです。そのときの状況や患者さんのご希望によっては、健全な前歯を奥歯に移植してブリッジにすることもあります。 編集部: 以上の条件を満たして歯牙移植をおこなった場合、成功率はどのくらいなのでしょうか? 水野先生: 歯牙移植は不確定要素が多く、患者さんの全身状態によっても変わってくるため、成功率としては70%程度が妥当なラインだと思います。 編集部: 年齢的に若い人の方が成功率は高そうですが、年齢は関係ありますか? 水野先生: 年齢による成功率の違いはあまりないと思います。先日、70代の歯牙移植を当院でおこないましたが、しっかりと定着しています。たしかに、高齢者の場合は細胞の活性がやや低い分、定着するのに時間がかかるかもしれませんが、最終的には定着するので年齢はあまり問題ないでしょう。