鳩山元首相が会見 クリミア訪問、沖縄、安倍談話に言及
ロシアによる「力による現状変更」を認めるのか?
クリミアは歴史的に、18世紀後半からロシアの領土であったと考えて良い。もちろん、力による現状変更は認められないが、イギリスにおけるスコットランドの例にもあるように、主権国家における住民による自己決定権は大切になってきている。この問題は複雑だが、今後はますます、住民の自己決定が大切になっていくだろう。 クリミアと尖閣諸島や北方領土はまったく違う。尖閣諸島は、1972年の日中国交正常化において、当時の田中角栄総理と周恩来首相の間で「領土問題の棚上げ」がされたことが出発点であるし、北方領土は、第二次大戦後、住人であった日本人が追い出されたという現実がある。クリミアとはまったく歴史的な背景が違う。
戦後70年、東アジアと日本の関係をどう考えているか?
戦後70年をめぐる、安倍総理の談話が出ると、東アジアの方々に緊張感を与えるのではないかと心配だ。昨日、村山富市元総理と会ったが、「安倍総理は村山談話を見直すといったり、引き継ぐといったり、何を考えているのかわからない」と言っていた。安倍総理は「同じ事をいうならコピーすればいいだろう」とまで言っている。総理が、本音では侵略戦争や植民地支配を認めたくないのだということは、欧米も知っている。その上で、侵略戦争という言葉を使わないとなると、非常に大きな影響を与えるだろう。談話では、しっかりと侵略や植民地支配の語を使うべきで、使わないのなら、談話を出すべきではない。
沖縄問題をどう考えるか?
首相に在任当時は、政権交代がおこり、政策を変更する自由度が高まったと思ったが、そうではなかった。外務省や防衛省もそれぞれ、それまでにアメリカと培った関係があり、変更をのぞまなかった。「ウィキリークス」でも報じられた通り、アメリカ側が官僚に対して、「鳩山に妥協をするな」ということまでも言っていた。 しかし、アメリカの側が変わりつつある。海兵隊の意義は見直されつつあるし、中国は世界最大の市場になっていく。アメリカと中国や北朝鮮の関係も変化している。普天間基地から辺野古への移設が難しいのなら、そもそも、次の基地を作る必要があるのか、という議論もしなくてはならない。翁長知事が訪米するようだし、沖縄県の事務所がワシントンにあるとも聞く。重要な役割を果たすかもしれない。ワシントンと東京だけでなく、沖縄やグァムなども含めて議論できる場を作っていく事が重要ではないか。