「老後の年金がわりに」のセールストークにご用心…〈利回り12%〉のアパート投資の先に待ち受ける「厳しすぎる現実」【経済ジャーナリストが警鐘】
銀行の金利が一向に上がらないなか、不動産投資による家賃収入で悠々自適な老後生活を送りたい、と目論む人も多いのではないでしょうか。しかし、「アパート・マンション投資には意外な落とし穴がある」と、経済ジャーナリストの荻原博子氏は言います。荻原氏による著書『老後の心配はおやめなさい』(新潮社)より、詳しくみていきましょう。
「アパート・マンション投資」が年金代わりに?
「投資」といっても、投資信託ばかりが投資ではありません。不動産投資も理解のないまま手を出してよいものではありません。 「アパートの家賃収入を、老後の年金がわりに」「年金+家賃収入で悠々自適な老後」「低金利でも、なんと利回り12パーセント」。銀行の金利が一向に上がらない中で、こんなセールストークに魅力を感じてしまう人もおられることでしょう。 アパートやマンションを買って、そこからの家賃収入を老後資金の足しにするというのが「アパート・マンション投資」ですが、そこには意外な落とし穴もあります。
知っておきたい「高利回り物件」の落とし穴
低金利の中で、高利回り物件があることは確かです。 ただ、提示された利回りを、そのまま鵜呑みにしてはいけません。「利回り12パーセント」というのは、実際にはあり得ません。 たとえば築20年、10部屋あるアパート1棟が、古いということで8,000万円で売り出されていたとします。部屋の家賃が8万円なら、収入は月80万円、年間960万円ということになります。 8,000万円を投じて年間960万円の利益なら、確かに「利回り12パーセント」ということになります。 ですが、サラリーマンの場合、8,000万円もの大金をポンと出せる人はいないでしょう。銀行でお金を借りるということになります。 投資用物件の場合、ご自分が住む場合に組む通常の住宅ローンよりも返済期間は短くなり、金利も高くなるのが一般的。ですから、8,000万円を25年ローン、金利2.5パーセントという条件で借りたとしたら、返済利息も含めた返済総額は約1億1,000万円になります。 つまり、1億1,000万円を投資して、年間に960万円の収入を得るということで、この時点で、投資の利回りは8.7パーセントに下がります。
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