「厚生年金なのに受給額が少ない…」という人も案外いるもの?低年金になる理由と対策を考えてみた
低年金になる3つの理由と対策方法
ここからは、老後に低年金となる理由や、具体的な対策方法について考えてみましょう。 ●厚生年金の加入期間が短い 厚生年金に加入している場合、国民年金だけを受け取る場合よりも年金水準は高くなるのが一般的です。 ただし、厚生年金の年金額は、厚生年金の加入月数とその期間の収入によって決まります。そのため「厚生年金を受け取ることができれば、低年金にはならない」とは言い切れません。 例えば「会社員として厚生年金に加入していた期間は1年だけ」といった場合、厚生年金部分の年金額はわずかなものとなるでしょう。また、現役時代の収入により、老後に受け取る年金額には個人差が出ます。 厚生労働省は、現役時代の収入別に、モデル年金例を公表しています(※)。今回は、加入期間が40年だった場合の「単身世帯のモデル年金例」を見てみましょう。 ※参照:厚生労働省「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点」 単身世帯のモデル年金例 【加入年数を40年とした場合の厚生年金額(国民年金を含む)】 ・現役期の報酬が54万9000円:年金額18万6104円 ・現役期の報酬が43万9000円:年金額16万2483円 ・現役期の報酬が32万9000円:年金額13万8862円 ・現役期の報酬が37万4000円:年金額14万8617円 ・現役期の報酬が30万円:年金額13万2494円 ・現役期の報酬が22万5000円:年金額11万6370円 ・現役期の報酬が14万2000円:年金額9万8484円 現役時代の報酬が「14万2000円」と「54万9000円」のケースを比べると、老後に受け取る年金額が2倍も違うのです。 厚生年金に加入している場合は、現役時代の収入と加入期間が、老後の年金額に直結することが分かります。 ●国民年金の未納期間がある 国民年金に未納期間がある場合、将来受け取る年金額が減額されます。また、国民年金には「受給資格期間(※)」が必要で、この期間が満たされていない場合、年金を受け取れず「無年金」となる可能性があります。 未納期間がある方は、早めに追納することをおすすめします。国民年金保険料を追納することで、将来の年金額が増えるだけでなく、社会保険料控除によって所得税や住民税が軽減されるというメリットもあります。 ただし追納ができるのは「追納が承認された月の前10年以内」の免除等期間に限られています。追納を検討する場合は早めに動きましょう。 ※受給資格期間:「保険料納付済期間」に加え、「保険料免除期間」や「合算対象期間(カラ期間)」を含めた合計期間が10年以上となる必要があります。 ●3号不整合記録問題 「3号不整合記録問題」とは、第2号被保険者に扶養されている「第3号被保険者」が、何らかの理由で扶養から外れる際、その届け出がおこなわれなかったために起こる問題です。詳しく整理していきましょう。 国民年金の被保険者は「第1号~第3号」に分類される 国民年金の被保険者は、第1号から第3号に分類されます。 このうち、第2号被保険者に当てはまるのは会社員や公務員などのサラリーマンです。そして、第2号被保険者に扶養されている配偶者は「第3号被保険者」となり、個別に年金保険料を納める必要はありません。 ただし、第3号被保険者が就職して配偶者の扶養を外れるなどした場合や、離婚などで資格を失うと、第1号または第2号被保険者として年金保険料の納付義務が発生します。 この際に必要な届け出を怠ると、年金記録が第3号被保険者のまま管理され、結果的に年金保険料の未納期間が発生する可能性があります。この未納期間が低年金につながるリスクが指摘されているのです。 なお「3号不整合記録問題」に該当している場合には、一定の救済措置が設けられています。早めに年金事務所へ相談することをおすすめします。