「厚生年金なのに受給額が少ない…」という人も案外いるもの?低年金になる理由と対策を考えてみた
「国民年金・厚生年金」平均月額&個人差
老後に受け取る公的年金の年金額は、現役時代に加入していた年金制度、年金加入期間、厚生年金であれば加入期間の年収などにより、個人差が生じます。 ここからは、厚生労働省年金局が公表する国民年金と厚生年金の平均年金月額と、年金月額ゾーンごとの受給権者数を見ていきます。 ●国民年金の平均月額&個人差 厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均月額および年金月額ゾーンごとの受給権者数は下記のとおりです。 【国民年金の平均月額】 ・平均月額(男女全体):5万6316円 ・平均月額(男性):5万8798円 ・平均月額(女性):5万4426円 【国民年金】年金月額階級別の受給権者数 ・1万円未満:6万5660人 ・1万円以上~2万円未満:27万4330人 ・2万円以上~3万円未満:88万1065人 ・3万円以上~4万円未満:266万1520人 ・4万円以上~5万円未満:465万5774人 ・5万円以上~6万円未満:824万6178人 ・6万円以上~7万円未満:1484万7491人 ・7万円以上~:178万3609人 国民年金の平均月額は、男女全体、男女別いずれも5万円台となっています。また「6万円以上7万円未満」がボリュームゾーンとなっており、満額に近い年金を受け取る人も多いことがうかがえます。 とはいえ、満額でも6万8000円(2024年度月額)ですから、国民年金だけでひと月10万円以上の年金収入を目指すことは難しいでしょう。 では、厚生年金の場合はどうでしょうか。 ●厚生年金の平均月額&個人差 厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(※)の平均月額および受給割合は下記のとおりです。 ※厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。また記事内で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。 【厚生年金の平均月額(国民年金を含む)】 ・平均月額(男女全体):14万3973円 ・平均月額(男性):16万3875円 ・平均月額(女性):10万4878円 【厚生年金の年金月額階級別の受給者数】 ・1万円未満:6万1358人 ・1万円以上~2万円未満:1万5728人 ・2万円以上~3万円未満:5万4921人 ・3万円以上~4万円未満:9万5172人 ・4万円以上~5万円未満:10万2402人 ・5万円以上~6万円未満:15万2773人 ・6万円以上~7万円未満:41万1749人 ・7万円以上~8万円未満:68万7473人 ・8万円以上~9万円未満:92万8511人 ・9万円以上~10万円未満:112万3972人 ・10万円以上~11万円未満:112万7493人 ・11万円以上~12万円未満:103万4254人 ・12万円以上~13万円未満:94万5662人 ・13万円以上~14万円未満:92万5503人 ・14万円以上~15万円未満:95万3156人 ・15万円以上~16万円未満:99万4044人 ・16万円以上~17万円未満:104万730人 ・17万円以上~18万円未満:105万8410人 ・18万円以上~19万円未満:101万554人 ・19万円以上~20万円未満:90万9998人 ・20万円以上~21万円未満:75万9086人 ・21万円以上~22万円未満:56万9206人 ・22万円以上~23万円未満:38万3582人 ・23万円以上~24万円未満:25万3529人 ・24万円以上~25万円未満:16万6281人 ・25万円以上~26万円未満:10万2291人 ・26万円以上~27万円未満:5万9766人 ・27万円以上~28万円未満:3万3463人 ・28万円以上~29万円未満:1万5793人 ・29万円以上~30万円未満:7351人 ・30万円以上~:1万2490人 厚生年金を受け取る場合、老後は国民年金との併給です。両者の平均月額を比べても分かるように、一般的には国民年金だけを受け取る場合よりも年金水準が高くなります。 とはいえ実際に受け取る年金額は人それぞれ。厚生年金を受け取る人どうしの間でも大きな個人差があります。男女全体の平均月額は14万円台ですが、受給権者全体の約2割が「厚生年金10万円未満」のゾーンに含まれています。 厚生年金は報酬比例のしくみをとっているため「多く稼ぎ、長く働いた人」ほど年金額が上がります(ただし上限あり)。つまりその逆も言えるわけです。 次では、低年金となる理由や、その対策方法について考えていきます。