不労所得で生活したいです。毎月20万稼いだ場合、どのくらい税金を払う必要がありますか?
2020年頃から、「F.I.R.E.」というものが話題になったことがありました。「Financial Independence, Retire Early(早期リタイアと経済的な自立)」という意味ですが、要するに「不労所得による生活を送ることを目指す」というものです。 F.I.R.E.を目指す人の中には、「完全なF.I.R.E.」とはいかないものの、収入の柱を労働による収入としながら、不労所得から副収入を得る人もいるのではないでしょうか。今回は、不労所得が増えたときの税金について考えてみます。
「不労所得」はどんなもの?
「不労所得」と聞くと、株式などへの投資で得た利益を思い浮かべる人もいるでしょう。F.I.R.E.はもともと、アメリカの「S&P500」に投資を行い、物価上昇率以上の利回り部分で生活を送ることを目指すものでした。 しかし、「不労所得」は株式投資に限ったものではなく、不動産投資によるものであったり、前述の株式投資の値上がり益だけではなく、預貯金や公社債などの利子所得であったり、株式の配当や投資信託の分配金などの配当所得であったり……と多岐にわたります。 その他にも「不労所得」を得る方法はあると思いますが、今回は株式投資など有価証券の投資や不動産投資の「不労所得」を得たときの税金について考えていきます。
株式等による不労所得の税金は?
株式投資など有価証券への投資によって得られる不労所得には「インカムゲイン」という、配当金や投資信託の分配金のほか、債券や預貯金など利子のようなものも含む、配当所得があります。 また株式投資や投資信託では、配当金 や分配金ではなく、値上がり益を取り崩して不労所得を得る「キャピタルゲイン」という譲渡所得があります。 前述の配当金や分配金で得られた所得に対しては、利益が出た部分を源泉分離課税として他の所得と分けたうえで、所得税が課せられます。 具体的には、所得税と住民税合わせて20%あり、そのうちの所得税に対して復興特別所得税が2.1%かかり、所得税・住民税と復興特別所得税を合わせて20.315%が徴収されることになります。株式などの有価証券を一部売却などして利益が得られた場合も、同様に、利益に対して20.315%が課せられることになります。 ただし、現在はNISA(少額投資非課税制度)という税制優遇があり、一定の投資額に対しての運用益等は非課税となっています。 NISA制度の成長投資枠で投資を行った場合は年間240万円、累計最高1200万円までの運用益など、つみたて投資枠では年間120万円、累計最高1800万円までの運用益などが非課税とされます。 つみたて投資枠では金融庁が選定した一定の投資信託等に投資が可能ですが、成長投資枠では株式投資など幅広い投資対象を選べるようになっています。 仮に毎月20万円の「不労所得」がある場合、この20万円が全て利益であれば、(20万円×20.315%=)4万630円の税金がかかります。しかし、NISA制度を活用すれば、課税されないことになります。 ただし、2024年からのNISA制度では、毎月分配型の投資信託がNISA対象外となったため、毎月分配型の分配金に対しては、利益が出た部分には課税されることになります。