長年忘れられた謎の天体「パルサー惑星」、太陽系外惑星の「初の発見例」
超高密度で高速自転する中性子星のパルサーを公転している惑星が、1992年に電波観測で初めて発見された。だが、この「パルサー惑星」は、太陽系外で見つかった観測史上初の惑星としてはほとんど受け入れられていない。そして発見から30年以上を経た今もなお、天体物理学の最大の謎の1つのままだ。 パルサー惑星が今日、太陽系外惑星の学界での注目度が低い主な理由は、現在知られている形態の生命が見つかりそうな有望な候補天体ではないと考えられているからだ。また、太陽に似た一般の恒星を周回する惑星はすでに5000個以上検出されている一方、パルサー惑星はまだほんのひと握りしか検出されていない。 だが最近、中性子星を公転するこの奇妙な惑星について、より多くを知ろうとする試みへの新たな関心が生まれている。結局のところ、天の川銀河(銀河系)に存在するパルサー推定20万個のうち、単にまだ未検出なだけの惑星を持つのは、全体のごく一部である可能性が高い。 観測史上初めてその存在が明らかになった太陽系外惑星は1992年、米ペンシルベニア州立大学のアレックス・ボルシュチャンと超大型電波干渉計群(VLA)を運用する米国立電波天文台(NRAO)のデール・フレイルの電波天文学者チームによって確認された。おとめ座の方向約2300光年の距離に位置するパルサーPSR B1257+12は、3つの惑星を持つことが知られている。 オランダ電波天文学研究所(ASTRON)によると、3つのうち2つは基本的にスーパーアースで、地球の約4~5倍の質量を持つ。 ASTRONによると、パルサーは直径わずか10~30kmの中性子星で、非常に強力な磁場を持っている。物質を降着させており、一定の間隔で大量のX線や他のエネルギー粒子を爆発的に放出する。 パルサーの高速な自転速度は通常、連星系の伴星から受ける物質降着によって角運動量を得ることで生じている。 それでも、こうした天体の周囲にある惑星を検出するにはどうしたらよいだろうか。 ■パルサータイミング法 筆者が2001年に発表した系外惑星探査に関する著作「Distant Wanderers: The Search for Planets beyond the Solar System」の中でボルシュチャンが語っているように、パルサーPSR B1257+12は、パルスのタイミングが合っていないという。 ボルシュチャンは「容易に説明がつかない、余分な変動があった」と筆者に語った。「ミリ秒パルサー(自転周期が1~10ミリ秒のパルサー)は極めて正確な時計だと、広く考えられていた。パルス波形はスパイクを持つ直線になり、各パルスの到着時間を測定する」 だが、これらの予測可能な周期変動は、この系の中心にある中性子星を周回する複数の惑星の重力による影響に起因するとしなければならないことを、ボルシュチャンは明らかにした。