ネット社会・民意の参加者「個室の大衆」 安倍解散vs小池劇場に見るSNS政治
衆議院が解散となり、22日の投開票に向け、事実上の選挙戦が始まりました。小池百合子都知事が代表となった「希望の党」の登場で、民進党は解党状態となり、合流の動きや新党設立など、選挙の戦いの構図は、日々刻々とさまがわりしています。 国際的にも、米国トランプ大統領の誕生、英国のEU離脱など、大きな変化が続きましたが、なぜ、有権者すなわち大衆は、かつては予想もしなかったこのような選択肢を選んだのでしょうか。そして今回の衆院選がなぜ、政治家が生き残りをかけたサバイバル・ゲームと化していったのでしょうか ── 。建築家で、文化論に関する多数の著書で知られる名古屋工業大学名誉教授、若山滋さんがその背景を考えます。 ----------
解散 vs 劇場
小池百合子、怒涛のツッパリで攻め込む。 安倍晋三、四つに組んで反撃をうかがう。 リベラルとされる第三極も体制を整える。 これだけ、何かが起きつづける選挙期間も、かつてない。 幼い子供たちに教育勅語という森友の問題以来、安倍政権の支持率は急落したが、再び急上昇、政局のタイミングを見計らっての解散となった。支持率政治ともいえる。首相自身は国難突破解散としたが「安倍解散」と称してもおかしくはない。 そこに待ったをかけたのが小池都知事だ。連日のハプニングと新しい出演者で露出度を高め、「小池劇場」は満員御礼。しかしながら、これまでの保守vs革新というような政策対抗軸よりも、保守どうしの、権力を巡る政争の色が濃い。立憲民主党も立ち上がり、情勢は予断を許さない。 「安倍解散vs小池劇場」、その目まぐるしい展開は、劇場的であるとともにゲーム的でもある。政策を棚に上げた議員たちのサバイバル・ゲームだ。 筆者は政治学の専門家でもなく、裏事情につうじた政界ジャーナリストでもなく、文化論を書いてきた人間である。ここでこうした政治現象を、文化論的に、社会的なコミュニケーション手段の変化、すなわちインターネット特にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)との関係において考察してみたい。