「舟越桂 森へ行く日」(彫刻の森美術館)レポート。人間の存在をテーマに制作を続けた彫刻家の軌跡
コレクション展には、舟越が選出した現代の作家5名の作品も
本館ギャラリーの向かいの建物では、「彫刻の森美術館 名作コレクション+舟越桂選」と題し、彫刻の森美術館が所蔵する名作の数々と、舟越が選出した現代の作家5名(三木俊治、三沢厚彦、杉戸洋、名和晃平、保井智貴)の作品が合わせて展示されている。
作品を見つめ、自分自身を見つめる
遠くを見つめる目線。舟越桂が手がける人物像の大きな特徴のひとつだ。「舟越桂 森へ行く日」展の展示室1のモニターに流れているドキュメンタリー映像のなかで、「どこから見ても作品の人物と視線が合わない、と鑑賞者に言われることがある」と舟越は話している。なぜそう言われるか、考えてみたという。そのときに思いついたのが、一番遠くを見るとは、自分自身を見ようとしていることではないかという答え。何かを見ようと遠くに向ける視線とはつまり、自分の内面に向けられた視線ではないのかと。 視線を合わせてくれない舟越の作品。しかし、じっと作品を見つめていると、いつしか自分の内面に目を向けているような感覚に浸っているはずだ。彫刻の森に足を運び、静かに自分と向き合うような彫刻体験を味わってほしい。
Ryohei Nakajima