「夜の街」を支えるワンオペ薬剤師――深夜営業の薬局から見た、「震源地」歌舞伎町の景色【#コロナとどう暮らす】
「歌舞伎町のみんな大好きです」
中沢さんが過労で倒れたとき、通行人の撮った写真がSNS上で瞬く間に拡散した。頭部から大量の血を流して倒れている姿に、「もめごとに巻き込まれた」「殺された」といった憶測とともに。 翌日、中沢さんを心配する客が次々と店を訪れた。 「ちょっと! 何で仕事してんの! 休みなよ~」 「先生倒れたっていうから来たけど、大丈夫なんかい?」 「大丈夫~!? 仕事抜け出してきたから、こんなものしか買って来れなかったけど、無理しないでね」 「血流して倒れたとかなると変なデマ流すやつ出てくるから、しっかりしてくださいよ」 中沢さんは、自身のツイッターでこうつぶやいた。 「歌舞伎町が何だとかあれこれ言われがちな昨今ですが、こんなに、あったかい言葉をいただける歌舞伎町のみんな大好きです」
中沢さんは言う。 「今後も潰れるお店は出るんじゃないですか。あれだけ小池さんもメディアも『夜の街、夜の街』と言い続けていましたから。一般の人は今も避けていますよね。昼の仕事があるから夜はやめたなんて話も聞きますが、ここにしか居場所がないという人もいる。特にうちはメンタル系の患者さんが多いので、心配です」 それでも、「いつも同じ場所に、同じ人がいるのが大事なんじゃないですかね」と信じ、今夜も朝まで店頭に立つ。