「自覚症状が出たらほぼステージ4」膵臓がんはなぜ「こんなに怖い」のか…スペシャリストに聞く「一刻も早く見つけるために最適な検査方法」
5mmのがんでも見つかる
では、症状が出る前の段階で、一刻も早くがんを発見するためには、どのような検査を受けるべきなのか。 「膵臓の検査には大きく4種類、CT、MRI、腹部エコー、そして超音波内視鏡があります。前者3つは身体への負担が少なく手軽に受けられますが、がんがまだ小さい場合は、なかなか見つけられません。 やはり、いちばん優れているのは超音波内視鏡です。これは胃カメラのような細長い器具を飲み込んでもらい、膵臓のすぐ近くに位置する胃や十二指腸の壁を通して超音波検査を行うもので、5mmほどのまだ小さながんでも見つけることができます。 一回の検査で完璧に調べることは難しいですから、これらの検査を織り交ぜて受けるのがいいでしょう。胃が痛くて胃の内視鏡検査を受けて『異常なし』と言われたけれど、実は膵臓が傷んでいた、ということもありますから、おかしいと思ったら医師に『膵臓も調べてもらえませんか』と伝えることも重要です」 糸井氏は、かりに膵臓がんが見つかっても、絶望する必要はないと言う。 「早期発見ができて、まだ転移がない状態であれば、手術に優る治療はありません。手術で治せる膵臓がんが、全体の2~3割といったところでしょうか。 ただし、それ以上に進行している場合も、近年ではよく効く抗がん剤が出ていますから、以前は手術ができないと言われたような、血管や肝臓にがんが広がっている方でも、まずクスリでがんを小さくしてから、手術をすることもできるようになっています」
まずは「指導施設」を頼ろう
近年では、複数の抗がん剤を併用して点滴するフォルフィリノックス療法、ゲムシタビン・ナブパクリタキセル併用療法などの化学療法を基本に、手術と組み合わせる治療が増えている。中には、がんが完全に消えるほどに治癒する例も出てきているという。 糸井氏が在籍する東京医科大学病院をはじめ、全国に日本膵臓学会が認定する膵臓治療の「指導施設」がおよそ320ヵ所ある。これらの病院には、膵臓の検査・治療の経験が豊富な指導医が在籍していて、かつ治療の実績も豊富だ。 リストが同学会のホームページで公表されているので、まだ一度も検査を受けたことがない人や、不摂生の心当たりがある人は、まず検査の相談をしてみるのがいいだろう。 ……・・ 【つづきを読む】脳梗塞になった…その瞬間に「行くべき病院」はどこなのか? 救急対応のエキスパートが明かす「発症直後に受けるべき治療」の中身 「週刊現代」2024年11月30日号より
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)
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