ECBの追加利下げ余地は限定的、慎重促す-シュナーベル理事
「市場は、緩和的な領域に踏み込む必要があると想定しているようだ」が、「今日の観点から見ると、それは適切ではないと思う」とシュナーベル氏は述べた。また、0.5ポイント刻みの利下げに関する臆測を退け「段階的なアプローチへの強い支持がある」と強調した。
インフレ率が目標を下回ったとしても、その原因が経済の根本的な問題にある場合には、利下げは逆効果になりかねないとも警告。
「そのような状況では、緩和的な領域に踏み込むことのコストは、恩恵よりも高くなる可能性がある」と述べた。「将来において、金融政策がより効果的に対処できるような衝撃に経済が直面した時に必要となる貴重な政策余地を、使ってしまうことになる」と解説した。
成長については、今月の購買担当者指数(PMI)の予想外の落ち込みを重大視することはせず、欧州の政治的混乱と米大統領選のトランプ氏勝利に起因する不確実性の高まりが理由だとの見方を示した。数字は弱さの度合いを過大に示している可能性があると述べた。
「ハードデータと併せて考えると、ユーロ圏経済は依然として停滞していることが調査から示唆される」とした上で、現時点では景気後退のリスクは見られないと述べた。
インフレに関してシュナーベル氏は、サービスセクターの物価上昇圧力高止まりにもかかわらず、来年には目標の2%達するだろうと確信している。ただ、目標達成の正確な時期にこだわることには否定的で、2025年になっても「不安定な状態」が続く可能性があると述べた。
一部の当局者は、高金利が過度に長引けばインフレ率が低くなり過ぎるリスクがあると警戒を示し、フランス中銀のビルロワドガロー総裁は、当局はそうした危険性に対して「細心の注意を払う」と述べている。
一方、シュナーベル氏はそのリスクは大きくないとの見方で、ECBが12月に公表する最新予測は、インフレ率が「中期的に目標付近」で推移するとの見通しを示すとみている。