木村祐一『ダウンタウン』から“勝手に”学び続けた30年
芸人、タレント、作家、映画監督、俳優、料理人…。多彩な顔を持つ木村祐一さん(53)。木村さんが107人の芸人さんにインタビューしたドキュメンタリー映画「ワレワレハワラワレタイ ウケたら、うれしい。それだけや。」も「島ぜんぶでおーきな祭 第8回沖縄国際映画祭」(4月21~24日)で特別上映されるなど反響を呼んでいます。芸の世界に入って、30年。真横でずっと同じ空気を吸ってきた木村さんが「ダウンタウン」のお二人について語りました。 ウーマンラッシュアワー・村本 人に感謝しない僕が“キム兄”に感謝する理由
僕の恩人ですか。やはりどう考えても「ダウンタウン」のお二人です。 デビュー2年目から今に至るまで、ずっとご一緒させていただいて。もう30年近く前になりますけど「ダウンタウン」さん司会の「4時ですよーだ」(MBSテレビ)をやっている時に、今田(耕司)さんから「松本(人志)さんとお茶に行こう」と誘っていただいたのがきっかけでした。 実はね、お茶に行くのを、最初は何回か断ってたんです。とにかく、緊張すると。今田さんは「大丈夫やって。怖がることないって」と言うんですけど、いや別に怖いということではないんですけど(笑)、緊張するのがつらいなと。 ただ、それでも毎回誘ってもらうので、いよいよ断り切れなくなりまして。松本さんと、今田さんと僕の3人で行ったんです。当時、若手のホームグラウンドだった心斎橋筋2丁目劇場を出てすぐの喫茶店に入りました。 結局、2時間くらいいたんですかね。でもね、僕は一言も発することなく終わったんです。その日の番組のこと、ファッションのこと、女性のこと、2人でいろいろ話をされてるんですけど、どこでどう入ったらいいのかも分からず、結局しゃべらずじまい。3人のうち1人が黙りこくるって、結構なことやと思うんですけど(笑)、それをとがめるわけでもなく、突っ込むわけでもなく、その日のお茶は終わったんです。 そんなことだったんで、もう呼ばれないだろうなと思っていたんですけど、それ以降も毎日、誘われるんです。そのうち、何か聞かれたら、さすがに「ハイ」くらいは言うようになった。さらに、少しずつしゃべるようになって、ある日、喫茶店の中で、ちょっとした軽い大喜利みたいな流れになったんです。 「こんなに要る?」というくらい、明らかにいつもより従業員の方が店内にたくさんいた。なんでやろうなという、ホンマに軽い大喜利ですわ。そこで僕が「今日は、お店のボーリング大会なんでしょうね」と言うたと。そんな程度のことですよ(笑)。本当に他愛もない。ただ、その瞬間に、松本さんが「フッ」と笑ってくれたのは、今でも覚えてるんです。 別に、直接的なアドバイスも何もないんですよ。ただ、毎回、毎回、毎回、毎回ご一緒させてもらうことで、こちらが勝手に、心に書き留めていったと言いますか。