木村祐一『ダウンタウン』から“勝手に”学び続けた30年
それと、僕らはちょうど過渡期やったんですよね。「ダウンタウン」さんが1期生としてドンと出てきた“NSC組”と、これまでどおり、師匠について教わって舞台に上がるようになった“お弟子さん組”が入り混じっていた時期やったんです。 お弟子さんとしたら、僕らに対して「弟子にもつかんと、何が芸人じゃ!!」という空気は正直ありました。間違いなく。その空気の中で、自分は「ダウンタウン」さんにかわいがってもらって、番組もやらせてもらっている。だからこそ、意識として、より負けたらアカンというのはありましたね。「なんや、『ダウンタウン』はあんなヤツら連れとんのか」と思われたらアカンと言いますか。逆に「さすが『ダウンタウン』がかわいがってるだけのことはあるな」と思われないとダメと言いますか。 ただ、かわいがると言っても、再三繰り返しているように、お二人とも直接こちらに何かを言ったりとかはないんです。でも、最初のお茶の時からそうですけど、常にこちらを見てくださってるんですよね。 僕は30歳過ぎて東京に行って、そこから作家として「ダウンタウンのごっつええ感じ」(フジテレビ系)にも呼んでもらうようになった。どう考えても、そこには、お二人と僕の関係性という部分も、呼んでもらった要素として含まれていたと思います。東京のフジテレビのプロデューサーさんが、大阪から来た僕のことをいきなり呼ぶわけないですから。 ただ、今週から作家をやらせてもらうとなって、現場でプロデューサーにあいさつに行ったら、そこでプロデューサーさんが「おもしろくなかったら、クビだから」とおっしゃったんです。ギャグの雰囲気もまぶしながら、でも、本気で…みたいなニュアンスの言い方で。文言としては、ズドンと重みのある言葉でもあったんで、周りは「…イヤ、イヤ、イヤ。ま、そんなズバッと言わないでも」と、ま、僕へのフォローみたいな空気が少し流れかけたんですけど、そこで横にいた松本さんがスパッとおっしゃったんです。「そら、そやろ」と。